Note
29.Jul.2010
ロシア連邦保安庁、権限をさらに拡大
ロシア連邦保安庁(FSB)の権限の強化が、メドベージェフ政権になって、ますます進んでいる。
7月18日 毎日新聞:ロシア下院は16日、「犯罪につながるような容認できない行動」を取った個人に「警告」を与える権限をFSBに与える法案を可決した。「警告」の具体的内容には触れていない。法案にはさらに、FSBの活動を妨害した個人を拘束したり、罰金を科す項目も含まれている。上院は19日に採決する予定で、可決が有力視されている。
ロシア国内の人権団体は、KGBが同じような権限を使って反体制派のソ連国民を弾圧した前例を取り上げ、法案が人権状況の悪化につながる恐れがあると警告する。議会内でも与党系の「公正ロシア」が下院採決で反対に回るなど、警戒論が根強い。
毎日:ロシア:情報機関に強権「KGB並み」に警戒論 大統領、再選へ布石か http://mainichi.jp/select/world/news/20100718ddm007030110000c.html
そして、WindowonEurasiaのポール・ゴーブルによると、旧ソ連国家保安委員会(KGB)から分離していた対外情報庁(SVR)が、今年度末にはFSBに再統合されるという消息筋の情報を掲載している。もともとSVRの分離は、エリツィン時代に情報機関の権限を抑制するために行われたものだったので、今回の動きはロシアの民主化の可能性をさらに摘み取るものになる。
WoE: FSB to Re-Absorb SVR by End of 2010, Moscow Journal Says
http://tinyurl.com/35p4eq5
28.Jul.2010
ダゲスタンが騒然としている
Two young men shot dead in Kizilyurt District of Dagestan
先週のニュースですが、チェチェンの東隣、ダゲスタンで鉄道の爆破、殺人や誘拐が相次いでいます。政府当局による人権侵害や、反政府勢力によるゲリラ攻撃などが入り乱れている印象ですが、北コーカサスの不安定化は進んでいるようです。参考まで:
キジルユルト地区で男性2人が殺害された
7/21 コーカサスノット:今日夜、ダゲスタンのキジルユルト地区のキロバウル村で、2人の若者が何者かに銃撃され、死亡した。犯人達は、VAZ-2109型の自動車に乗っていた2人を銃撃し、2人は即死した。ロシアのRIA通信によれば、この2人はいとこ同士だといい、このうち一人は、過激派の宗教指導者バガウディン・マゴメドフ(ケベドフ)との関係があったとしている。なお、被害者の名前は公表されていない。
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21.Jul.2010
発電所襲撃テロ報道と人権問題の無視
Covering the hydropower plant and ignore of Human rights
報道によると、チェチェンに近いカバルジノ・バルカリアで、水力発電所が爆破される事件がありました。まだ犯行声明は出ていません。経済犯罪の可能性もあるので、慎重に事態を見ていく必要があると思います。(7/22現在、カフカスセンターには西側報道の転載しかありません)
ところで、各紙の報道では、この事件の背景にあるのは、北コーカサスの反政府武装勢力のテロの増加や、治安の悪化であるとのこと。これは正しいように聞こえて、間違いです。たとえば朝日新聞はこう伝えます。
同共和国は、かつて独立戦争で揺れたチェチェン共和国や、3月末のモスクワ地下鉄連続爆破テロ事件を首謀したイスラム系武装勢力が潜むと見られるダゲスタン共和国などとともに、北カフカス連邦管区を構成。チェチェンでのテロは沈静化する一方、隣のダゲスタンではテロが相次ぎ、最近は北カフカス全域へと拡散する傾向にある。
朝日 2010.7.21 水力発電所でテロ? 2人殺害し爆破 ロシア・北カフカス
これでは、読者は事態を理解できないと思います。なぜ「テロ」が相次ぐのか。それは、北コーカサス全域での汚職や腐敗、広範に発生している強制失踪や違法処刑(最近ではこういう情報)などの人権侵害、そして、ロシア政府が後ろ盾となっているラムザン・カディロフによる親ロシア派政府の存在など、多様な要因があって、やっと、チェチェン独立派などの武装勢力の活動が理解できるわけです。
こうした記事は、ただ、「あのあたりはテロで危ないからね」といった、事情にうとい人々が抱く印象に迎合し、それ以上の何ももたらさない記事だと言わざるをえません。そして、同じ印象を再生産しつづけます。どうして、この機会にそういった記事しか書けないのか、正確なところはわかりませんが、普段、北コーカサスの人権状況に関心がないか、あってもほとんど記事にしていないため、文脈上いきなり扱うことはできないのでしょう。そうでないのに、なお書けないなら、別種の問題ですね。
しかしそれらは書き手の側の都合にすぎなくて、理不尽な状況の中で苦しめられている北コーカサスの人々にとっては、これらの報道では自分たちの苦境は世界に伝わらず、つまはじきのままです。最大の問題は、この地域をロシアが強権的に支配していることです。武装闘争は結果にすぎません。
このサイトの目的は、報道のあら探しではありません。報道に携わっている方々と情報を共有し、よりよい報道に近づけるための情報源として使っていただきたいと考えています。情報が遅く、周回遅れになってしまうこともありますが、過去に蓄積されたアーカイブなどを通して、チェチェンおよび北コーカサスの情勢について知っていただければ幸いです。(大富亮/チェチェンニュース)
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