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チェチェンニュース/メディアリリース 2002.10.25

モスクワ人質事件における、チェチェン人への公開書簡/2002.10.25

報道各位

10月24日にモスクワで発生したチェチェン民兵による人質事件について、本日25日、日本人有志によるチェチェン民兵あて公開書簡(別掲)を送達いたしましたので、お知らせします。

この公開書簡は、チェチェン政府の指揮系統を外れてモスクワで人質事件を起こしたチェチェン民兵に向け、人質の安全に配慮するよう求めたもので、起草者の大富亮(チェチェンニュース編集兼発行人)および渡辺千明(インターネットサイト「チェチェンウォッチ」編集人)をはじめ、20人以上の賛同者が署名し、関係者を経由して現地に送られました。

広範囲な人権侵害と軍事衝突が続いているにもかかわらず、チェチェン問題にはこれまで国際社会の関心が寄せられてきませんでした。一説によればここ10年で20万の人命が失われています。そのうえ和平交渉も進展がないことを考慮すれば、彼らが今回の行動に至った動機そのものは十分に理解可能なものです。今回の書簡はこれをふまえた上で、あくまで人質の安全を優先して行動するよう、訴える内容としました。

しかし、注意しなければならないのは、このような民間人を対象とした危険な作戦が、戦時国際法に照らして違法であり、非難されるべきものであることです。この点につき、欧州安全保障機構(OSCE)などの立会いの元に成立したアスラン・マスハドフ大統領のチェチェン政府も、この行動の違法性を指摘し、中止を強く勧めています。

現在最も必要なのは、チェチェン人とロシア人が、人質危機の中にあってもその思考をクールダウンし、特にチェチェン側諸組織が理性的に行動することであり、本書簡が劇場内外で興奮状態に陥っているチェチェン人への冷却材として届くことを、起草者一同は期待する次第です。

私たちは、この事件がさらなる流血を伴わずに終結することを願っています。しかし、ロシアによるチェチェン侵攻という原因が解決されない限り、このような事件は、これで最後とはならないと考えます。したがって、私たちは今後も、チェチェン共和国を対等の交渉相手とした政治的解決を強く支持し、適切な機会に意見を公表します。

また日本のメディア関係者各位には、この事件の報道に関して、「対テロリズム作戦」といった言説に代表されるロシア政府側の宣伝に惑わされることなく、事件の背景を考慮した報道をされるよう、お願いいたします。

「モスクワ人質事件における、チェチェン人への公開書簡」起草者
大富亮(「チェチェンニュース」編集兼発行人)
渡辺千明(インターネットサイト「チェチェンウォッチ」編集人)

(以下公開書簡、賛同者名簿、問い合わせ先)

チェチェンの友人諸君へ

われわれは遠く離れた日本で、チェチェン共和国の平和と独立の実現を願う、チェチェン民衆の公正な要求と立場を知らせようと努力してきました。ですから、われわれはあなた方の「決死隊」が、なぜモスクワでこのような行動をとらざるをえなかったかを、よく理解しています。そして、ロシア占領当局がチェチェンの領内でいかに流血を引き起こし、人々に悲しみと涙を強いてきたかを知っています。

決死隊の要求である、「チェチェンにおける流血の戦争の停止、そしてロシア軍のチェチェンからの完全撤退」は、われわれの要求でもあります。

しかしながら、この要求は数日間の劇場占拠ではとうてい実現できるものではありません。われわれはわが事のように、この事件が流血をもって終わることを懸念しています。世界の目は今、あなた方に注がれています。劇場の中でロシア人が一人でも死ねば、この事件が「イスラム過激派のテロ」だという宣伝が始まります。その大きな叫びは世界世論のチェチェンへの同情を窒息させかねません。

われわれは、この事件が流血を伴わずに終結することを、心から願っています。

友人諸君!あなたたち自身と、人質たち、そして劇場内のすべての人々の生命を大切にしてください。チェチェン人にとっても、ロシア人にとっても、われわれ一人一人にとって、この世で与えられた生命はただ一つなのですから。

起草者:大富亮(「チェチェンニュース」編集兼発行人)
渡辺千明(インターネットサイト「チェチェンウォッチ」編集人)2002.10.24

賛同者署名(38名):