チェチェン総合情報
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プレスリリース/特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン/2003.04.10

チェチェン共和国で2003年3月23日に実施された国民投票:
見せかけの選挙は人間性を無視した、許しがたい悲惨な結果に終わる

3月23日、チェチェン共和国にて、共和国憲法草案採択と大統領選挙ならびに議員選挙に関する賛否を問う国民投票が実施された。

2003年2月、FIDH(国際人権連合)は、人権団体メモリアルと共同で、イングーシ共和国において、国民投票監視団を選出した。メドゥサン・デュ・モンド(MDM)からも調査員が派遣され、同監視団の一員として国民投票の期間、チェチェン共和国内での調査に参加し、いかに投票が行われたかを確認することができた。実際、メドゥサン・デュ・モンド派遣の調査員は、非公式かつ独立した立場から投票所の活動を監視することのできた数少ない外国人のひとりであった。

まず初めに、ロシア政府がチェチェンの<正常化>に数カ月以来努めていると発表したものの、チェチェンの一般市民は、3年半以上続く紛争の最大の犠牲者であり続けていることを確認した。

大規模な掃討作戦や爆撃が少なくなっている一方、今日、チェチェンでは、不当逮捕、拷問、武装グループにより男たちが連れ去られ、そのまま行方不明になるなど、<対象を絞った作戦>が増加し、日常化している。

こうしたロシアのチェチェンにおける政策は、1999年秋から現在までに約5万人の犠牲者と15万人以上の負傷者を生み出し、何千人もの人々が今日、連邦政府当局によって逮捕された後、行方不明になっている。また10万人の住民が、隣国のイングーシに避難し、人権が損なわれるような過酷な状況下での生活を余儀されている他、何千という人々がロシアをはじめ世界各国に散らばっている。

さらに、ジャーナリストやNGOのチェチェンへの入国は、依然として限られたものとなっている。ロシア政府は一方で、チェチェン訪問には何の障害もないし、訪問を受け入れるとしながらも、他方では実際の訪問した場合の身の安全は保証できないとしている。

このようなに危険で秘密主義的な状況の下、表現の自由は幻想にすぎない。 紛争が続き、緊張と脅威にさらされている状況下での今回の国民投票の実施は、<茶番劇>のように思われる。

加えて、国民には、投票に行くようにという数多くの圧力がかけられ、親ロシア派のチェチェン行政府による、有権者への情報提供よりむしろ彼らをおじけさせることが目的の選挙前のいくつかの会議を除いては、国民投票に関するいかな議論も行われなかった。

一方、メドゥサン・デュ・モンド派遣の調査員は、同投票が、数々のうそ・偽りに満ちていることに気付いた。投票日の2003年3月23日、グロズヌイの街角にも投票所にも人けがなかったにもかかわらず、85%の投票率、 96%の賛成票によって新憲法が制定されることになったと公式発表がなされたからである。

さらに、メドゥサン・デュ・モンドの調査員は、その他にも多くの不正を確認・目撃した。3月23日午前10時のラジオニュースで、ペルヴォマイスカヤ通りの第7学校に設けられた投票所前には、投票を待つ長い列ができていると報道していたが、5分後に現場に到着してみると投票所前には武装した警備員しかおらず、投票所内にも4-5人の投票者がいただけだったと報告している。さらに、スタロプロミスロフスキ地区の投票所選挙委員会直属の立会人は、有権者が同投票所へやってきた有権者は300人弱であった旨、委員会に伝えたが、夕方の公式発表による同投票所での投票者数は2,185人となっていた。メドゥサン・デュ・モンドの調査員に同行したチェチェン人たちは、今回の投票の馬鹿らしさを証明するために、意図的に複数の投票所で何回も投票してみた。

この国民投票は、チェチェン国民に対する屈辱であり、ロシア政府が、チェチェン国民によって民主的に選ばれたスハドフ大統領を代表とするチェチェン側との交渉による紛争の解決策検討を拒否することを認めた憲法を圧倒的賛成多数で採決させるのに、住民の票など全く必要ない」ことを証明するものであった。

不幸にもこの新憲法の採択は、チェチェンにおけるクレムリンの<反テロリスト作戦>を正当化することにほかならないのではないかと懸念される。なぜなら、この憲法により、チェチェン人による抵抗運動は、完全に法の保護外に置かれ、大多数のチェチェン人に否認されたとみなされる結果となるからである。

このように、ロシア政府当局は、合法的に、しかも全く罪が裁かれない状態で、イラク戦争と対比させながら、平和と政治的解決の保証人として、<テロリストを排除する>ために新たな武器を手に入れたのである。

準備された声明文、投票の実態等、今回の国民投票は、疑惑に満ちたものであったことを十二分に示している。

FIDH(国際人権連合)とメドゥサン・デュ・モンドは、各国際機関に呼びかけ、ロシア政府当局にチェチェン紛争および住民に対する人権侵害を終結させることを要求する。 これによって、チェチェン国民が切望する平和的政治的解決に向かった真の交渉の第一歩となるのである。

特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン
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担当:森

メドゥサン・デュ・モンド ジャポンは阪神淡路大震災の被災地への緊急医療チームの派遣をきっかけに1995年に設立されたメドゥサン・デュ・モンドの日本支部です。