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チェチェンニュース
Vol.01 No.06 2001.05.22

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■HRW,チェチェン大量死体遺棄事件について詳細な報告書を発行

 ロシア軍による組織的な虐殺が世界に波紋

5月17日,ニューヨークに本部を置くNGO,「ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)」がチェチェンでの行方不明者についての報告書を発行し,世界的な波紋を呼んでいる.

報告書「大量死体遺棄に関する調査(全27頁)」では,今年2月下旬にグロズヌイ−アルグン間にあるダチヌイ村で発見された51体の遺棄死体のうち,すでに19体の身元が判明,少なくとも16体は,生前最後に目撃されたのがロシア軍に逮捕または拘留された時であったことが家族などによって確認されたと結論づけている.

「これは,チェチェンでの最悪の虐待の実態を物語る強力な証拠です」とHRWヨーロッパ・中央アジア部門のホリー・カーター氏は語る.

HRWが確認したところでは,遺体の多くは民間人の衣服を身につけており,大部分は目隠しをされ,手足を縛られた状態で発見された.また,現在無人になっている村の入口の道路には,多くの装甲車,軍用トラックのタイヤ跡が確認されている.

ロシア政府は2月の発見直後から「独立派による犯罪行為だ」と主張してきたが,発見場所がカンカラにあるロシア軍最大の基地から1km弱の距離にあり,この地域が99年の12月という早い時期に制圧されていることから,虐殺がロシア軍の手で組織的におこなわれていたことは動かしがたいと見られ,過去にない大規模な事件が国際的なNGOによって明らかにされた意義は大きい.(チェチェンニュース)

チェチェンニュースでは,近日中に日本語版を公開する予定.

■「チェチェン戦争の本質は変わりません.

  ロシアの拡大主義と,植民地政策の結果なのです」  ジャーナリスト,林克明さんが都内で報告

5月17,18両日にわたって,ジャーナリスト,林克明さんによる報告会が開かれた.林さんは95年の第一次チェチェン戦争以来,10回以上にわたってチェチェン入りして報道を続けてきた.参加者は両会場を合わせて70人以上.以下は発言より抜粋.

「今回の戦争では,チェチェン周辺で厳しい報道管制が敷かれていて,ほとんどジャーナリストが入ることができません.その結果,チェチェンで難民化している,人口の50%以上もの人々のことや,大量虐殺の実情が何も伝わってきません.ある意味でおおざっぱなところのあったエリツィンと違い,プーチンの場合はまずジャーナリズムを排除し,政府発表を信じさせることでロシア世論を味方につけていると思います」

「欧米諸国のチェチェン問題への取り組みはまだまだですが,ワシントンポストやニューヨークタイムズ,APなどが毎日のようにチェチェンの報道をしています.仮にロシア側の準備したツアー取材であっても,問題意識の強い記者ならば何かをつかんで帰ってくるのですが,日本ではそういった報道がほとんどありません」

「今,チェチェンでは少しづつ,市民自身による抗議行動が動き始めています.担い手は女性たちです.この動きは,ゲリラ活動以上に今後力になっていくと思っています」

林さんは今後も,国際的な視野を保ちながらチェチェンのことを伝えていきたいと話している.

■5/9 「グロズヌイは完全に破壊されている」EU視察団,首都グロズヌイを視察

チェチェンを視察中のEU代表団は,ロシア政府はグロズヌイ復興を開始しているものの,チェチェン独立派との戦闘が終わらない限り成功の見込みはない,との見解を明らかにした.

視察団長のセベン・ヒルドマン駐ロシアスェーデン大使は,「グロズヌイは完全に破壊されており,給水や電気といった基礎的なインフラも同様だ.グロズヌイからの1万人の難民も帰還を拒否している」と語った.9日,BBC

■5/11 チェチェン市民自身が,ロシア軍による行方不明者問題を追及

チェチェン内で消息を絶った人々の家族が,ロシア軍の収容所や警察署の周りに昼夜座り込みを続け,抗議活動を続けている.また,行方不明者の家族は,遺体が遺棄されている可能性のある地域を,地雷を踏む危険を犯しつつ捜索するなど,チェチェンでは民間人の動きがこのところ活発になっている.11日,インターナショナル・ヘラルドトリビューン

■5/13 首都グロズヌイにて市民の反戦抗議行動

ロシア軍のチェチェンからの撤退を求めて,グロズヌイで市民による抗議行動が行われた.参加者のチェチェンの母親たちの多くは子供や夫をロシア軍の収容所に拘留されており,すべてのチェチェン人の,収容所からの解放を強く求めた.14日,チェチェンプレス

■5/16 チェチェンの子供たちに「夏休み」?

ロシアの当局者,ウラジミール・イエルギン氏は,2万8千人のチェチェンの子供達の近隣の共和国での静養とサマーキャンプのための予算措置を講じていると語った.

一方でロシア軍当局は,ここ24時間の間に7人の独立派兵士を殺したと発表.16日,BBC

■5/16 チェチェン復興資金,モスクワに滞る

今年,ロシア政府はチェチェン復興のために4億8千万ドルを支出すると決定したが,いまだに現地には送られていないことが政府筋の情報により判明した.

2月の閣議で決定した復興計画資金は,住宅,食料,安全保障,雇用などを目的としているが,財務省も経済開発省も詳細な内容を発表せず,互いに相手に属する問題だとしている. 16日,モスクワタイムス

■5/17 「ロシア軍,政府はチェチェン人の信頼を得ていない」/プーチン大統領,EU代表に対して認める

17日のEU首脳との会談の場で,ロシアのプーチン大統領は,「ロシア政府,軍に対するチェチェン人の信頼は必ずしも高いとは言えない」と認めた.

EU議長国スェーデンのゴラン・パーソン首相は,ロシア軍による死体大量遺棄についてのHRWの報告をとりあげ,人権問題への真摯な取り組みを要請した.チェチェンでは同日,ヘリコプターなどによる南部山岳地帯の独立派拠点への攻撃が24時間以上続けられた.7日,ロイター

■5/17 ガンタミロフ・グロズヌイ市長辞任の意向

親ロシア派のガンタミロフ・グロズヌイ市長が,代理人を通して辞任の意向を発表した.詳しい理由は公表されていない.同氏は前回の第一次戦争後に復興資金の着服の罪で服役していたが,エリツィン前大統領の特赦を受け,民兵部隊とともにチェチェン入りしていたが,これまでもロシア政府との間のトラブルが報道されていた.7日,ロイター

■5/18 ロシア情報機関,人道援助団体に対してスパイの嫌疑

ロシア連邦保安局のウラジミール・ベズグリー将軍は,人道援助を隠れ蓑に,CIAのためのスパイを働いていたとして,昨年中に5人の人道団体スタッフをカフカス地域から追放した,と発表した.将軍は処分対象の団体名には触れていない.

これに関連して,ロシアのNGO,グラスノスチ財団のセルゲイ・グレゴリアンツ氏は「ロシアはスパイヒステリー,あるいはスパイマニア的な精神状態にあり,こうした発言が飛び出しても驚くにはあたらない.今も12の事件が裁判にかけられているが,被告は環境保護活動家,ジャーナリスト,科学者などで,全土がスパイ狩りに熱中しているのが実情だ」とコメントしている.18日,AP

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