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チェチェンニュース
Vol.01 No.20 2001.09.04

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■チェチェン・グルジア民兵,アブハジア国境に進出/AFP,8/24

グルジアの公式筋がAFPに語ったところでは,500人程度のチェチェンとグルジアの民兵が,グルジア西部のサムグレロ地域で合流し,グルジアから事実上独立しているアブハジアへの進攻を準備した.

グルジアのシュワルナゼ大統領は,内務省と安全保障関係のスタッフと緊急会議を開き,対策を検討.また,国境の状況については,8月24日にグルジア西部のザグデデで,国境警備を担当するグルジア内務省軍のゲオルギー・シェルヴァチゼほか,大統領府の担当者2名が参加しての対策会議も開かれた.

グルジアは数千人のチェチェン側レジスタンスと,戦争から逃れてきた難民の居住地となっている.一方アブハジアは,90年代はじめにロシア政府に支援された分離派とグルジア政府との戦闘の末,93年に事実上の独立宣言をしている.

■グルジア軍,アブハジア国境の緊張緩和に出動/AFP,8/27

8月27日,グルジアのシュワルナゼ大統領は,アブハジアへの進攻を意図した,チェチェン・グルジア民兵の動きを,グルジア軍が抑止したことを公式に認めた.

25日,グルジア政府は数百人のチェチェンとグルジアの民兵が合同し,グルジア西部のサムグレロ地域で,アブハジア領への進攻を準備しているという報告を否定していたが,この27日に同大統領が明かしたところでは,グルジア軍はこの動きに介入した.

シュワルナゼ大統領はラジオ番組のなかで「数日前,アブハジアへの進攻計画は軍によって抑止された.98年の,ガリ地区での血生臭い事件の再来は免れたのだ」として,グルジア軍とアブハジア独立主義者の間で数人の死者を出した事件を引き合いにし,「グルジアとアブハジアの関係は,今回のような勢力や,あるいはロシアに握られた爆弾なのだ」と警告するとともに,「われわれは対話の場と妥協策を準備している.アブハジアにロシア連邦の中での特別な地位を与えることも考えている」と語った.

グルジアのカクハ・タルマガズ内務大臣は25日の時点で,グルジア=アブハジア国境から60キロのツァレンドズクスコエ付近での民兵の集結を「まちがった報告だ」として否定していた.グルジア北西地域でAFPの記者と接触した地元住民は,グルジアとチェチェンのレジスタンスが森の中で集結していたと証言した.

ロシアの軍事筋は,チェチェンの民兵はゲラーエフ司令官に率いられたものであり,アブハジアを経由してカバルディノ=バルカリア共和国とカラチャエヴォ=チェルケシア共和国に向かうところだったとしている.

アブハジアは,90年代はじめに分離派とグルジア政府との戦闘の末,93年に事実上の独立宣言をし,現在は3000人前後のロシア軍部隊が独立国家共同体(CIS)の平和維持軍として現地に配置されている.グルジアは数千人のチェチェン側レジスタンスと,戦争から逃れてきた難民の居住地となっている.

■チェチェンのレジスタンス,南部での優勢を宣言/ロイター,8/27

8月27日,チェチェン独立派は,最近のロシア軍との戦闘により,山岳地帯での拠点が確保されたと発表した.ロシア政府は,南部山岳地帯のヴェデノ地域での戦闘についてのコメントを避けているが,レジスタンス側によると,ヴェデノとツサ-ヴェデノ村はここ3日間確保されているという.

レジスタンスのバサーエフ,ハッターブ両野戦司令官に近い独立派のスポークスマン,モフラジ・ウドゥーゴフ氏は,ロシアの軍用機による爆撃はここ3日続いており,ロシアの装甲縦隊がヴェデノの奪回のために派遣されてきたが,初期の段階で迎撃に成功したと語った.

ロシア政府側は2000年の4月以降,レジスタンスの軍事的脅威はすでに存在しないと明言していた.しかしチェチェン側のレジスタンスは待ち伏せと地雷による攻撃を,ほぼ連日行っている.

■ロシア安全保障会議,チェチェン難民の早期帰還を討議/ラジオ・リバティー,8/29

8月28日,ロシア安全保障会議は,現在チェチェンの隣国イングーシ共和国に避難している,14万9千人と推定されるチェチェン難民の早期帰還の促進について討議した.ロシア政府のチェチェン担当相,ウラジミール・イエルギン氏によると,ロシア政府は帰還する難民に対して保護を与えると同時に,彼等の就労の機会を与えること,および失業中の手当支給を行いたいとしている.安全保障会議のヴァレンチン・ソボーレフ副書記は,「ロシア政府は難民問題を非常に憂慮している.冬が近づこうとしており,難民たちはテントでは3度目の冬を越すことができないだろう」と語った.

■アレロイ村での浄化作戦についての続報/人権NGO「メモリアル」,プラハ・ウォッチドッグ,8/24

ここ9日間,クチャロイ地区のアレロイ村に対するロシア連邦軍の包囲は続いており,村人は村から出ることが許されていない.

村では,「浄化作戦(cleansing operation)」と呼ばれる行動が続いている.公式筋は,この村にチェチェン大統領アスラン・マスハドフがいる疑いがあるとしているが,この村から逃亡してきた村人によると,大統領はこの村にはおらず,これまでいたこともない,という.

アレロイ村の住民は飢餓に瀕している.連邦軍の兵士によって,商店,市場,家々の食料は略奪された.「浄化作戦」は略奪,酔った兵士による押し込み強盗,放火などを伴い,少なくとも12軒の民家が燃やされた.

テロリストとの「選別(filtration)」を目的として,ロシア軍は13歳以上の男子をすべて拘束した.村の中学校の校舎は拘留所として使われた.選別もまた,虐待と拷問を含んでいる.拘留の基準は恣意的なものである.

多くの人々は一度解放されたあと,再び通りで逮捕されて中学校に逆戻りさせられた.拘束された人の一人,アリムザン・ダウドフは,虐待を受けた後,機関銃を首から下げられて写真を撮られた.情報によるとでは54人が,村の近郊の坑道に押し込まれて留置されている.他に35人がクチャロイのロシア軍部隊の基地に留置されている.そのうちの一人の名はカロン・タターエフ,36歳とわかっている.

アレロイでは9人が射殺された.これ以外にも,浄化作戦の初日にツェントロイ村の17歳の羊飼いの少年が射殺された.彼の遺体は21日に発見されて,村の住民の手に渡った.アレロイ村の封鎖と浄化作戦は今日も続いている.

■戦闘状況/グラスノスチ財団,8/30

チェチェン側の情報源,カフカス-センターによると,チェチェン南部での戦闘は現在も続いている.チェチェン側レジスタンスは,ロシアの第45,第66空挺連隊などに対して強襲している.

ロシア公式筋の情報では,この地域での戦闘は完全にロシア軍の優勢下にあるが,緊張状態が続いているという.ヴェデノ地区の首長,カズベック・セリモフによると,地区の行政府の機能はレジスタンスの活動の活発化によってほぼ停止しているという.

カフカス-センターによるとアルグンでは2台の装甲兵員輸送車と軍用トラックが破壊され,ロシア兵8人が死亡.首都グロズヌイでも2名のロシア兵が死亡した.

■チェチェンの市場にて爆破事件,12名死亡/AFP,8/30

8月29日,チェチェンの首都グロズヌイの南東20キロにあるオクチャブリスコエ村の市場で,独立派レジスタンスによるものと思われる爆弾が爆発,ロシア兵士4人が死亡,市民6人が死亡,親ロシア政権関係者2名が死亡した.

ロシア軍側の発表では,爆弾は,ロシアの自動車化部隊が市場の近くを通り抜けたさいに爆発し,その後レジスタンスはロシア部隊に銃撃を開始した.この戦闘でレジスタンス1名が逮捕されたという.

この戦闘で2人の警官と4人の村人が死亡した.ここ数週間,チェチェン側の攻撃の活発化により,ロシア軍と親ロシア政権のチェチェン警察は犠牲者数を増やす一方.この爆弾による攻撃は,昨年11月に,グロズヌイ近くで22人の死亡者を出した事件に次ぐ規模.

■「和平協定の締結は不可避」チェチェン大統領,インタビューに答える/AFP,8/31

8月31日,チェチェン共和国のアスラン・マスハドフ大統領は,ロシアの日刊紙コメルサントのインタビューに対し,「第一次戦争の時のように,今回の戦争も平和協定の締結によって終わるべきだ」と答えた.

マスハドフ大統領は「どんな戦争にも平和な結末が来なくてはならない」とした.前例としては,96年8月31日,ロシアのアレクサンドル・レベジ安全保障会議書記とマスハドフ独立派総参謀長(当時)は,2000年までの間チェチェンの独立問題を凍結する条件で和平に合意し,94年からの激しい戦闘を終えた.

マスハドフによれば,チェチェンでのロシア軍は「どこから攻撃されるかわからず,どこに行けばいいのか知らず,誰が敵で誰が味方なのかさえもわからず,まるで中国の店に放りこまれた象のようだった.チェチェンの山岳地帯におけるロシア軍の大規模攻撃は,96年のそれと非常によく似ている」という.

99年のロシア軍によるチェチェン進攻から2年近く経過しているが,ロシア軍は日々レジスタンスの攻撃を受けており,チェチェンの状況を平定するだけの能力のないことが明らかになりつつある.

■戦闘状況/グラスノスチ財団,9/2

8月31日の夜,チェチェン側の情報源によると,シャリは迫撃砲の攻撃にさらされ,少なくとも2歳の女児一人が死亡,母親が負傷した.ロシア兵たちが市内のレーニン通りのドンバーエフ家に押し入り,金とウォッカを要求し,略奪行為に及んだ.その後兵士たちはドンバーエフの22歳の娘を強姦した.

ロシア軍の情報によると,8月28日から30日にかけて,クチャロイ地区のヴェデノと,アルグンでの戦闘により,50人のレジスタンスが死亡ないし負傷した.

■グルジア外務省,領内での無断演習でロシア側に抗議/グラスノスチ財団,9/2

9月1日,グルジア外務省はロシア政府に対して,グルジア領での,無許可の軍事演習についての抗議を表明した.グルジアでの報道によると,アジャリア自治区の第12ロシア軍基地で無断の軍事演習が行われた.グルジア軍参謀長のジョニー・ピルツカライシュヴィリ将軍によると,ロシア軍はグルジア国防省との協議を経ずに行動しており,グルジアとしてはロシア軍の現地司令官,ヴァチェスラフ・ボリソフの解任を要求することになるだろうと述べた.

■編集室より

今週の情勢で目を引くのは,チェチェンとグルジアの民兵がアブハジアへの進攻を意図して集結したニュースである.グルジア領のアブハジアでは,ロシアに支援された独立派が強く,結果としてグルジアはロシアからの干渉を受け続けている.また,先月末から今週始めにかけて,グルジア駐留のロシア軍も演習を開始し,圧力を強めている.北にチェチェン問題,西にアブハジア問題をかかえたグルジアの立場は難しい.(発行人)

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