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チェチェンニュース
Vol.01 No.21 2001.09.10

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■戦闘状況/グラスノスチ財団、9/3

9月2日、北コーカサスにおける内務省の情報によると、グロズヌイ、シェルコブスコエ、ノジ=ユルト、シャリの各地区で行われた浄化作戦により、23人のレジスタンス容疑者が逮捕され、隠匿されていた8丁の銃器が破壊された。

レジスタンス側によれば、ヴェデノとアギシュバトイの各地区でロシア軍の拠点に対して迫撃砲、ロケット弾、機銃などによる攻撃を行った。首都グロズヌイでは、レジスタンス側の攻撃により2台の装甲車と3台のトラックがが破壊され、アルグンでは装甲兵員輸送車と対空砲が破壊された。チェチェン第二の都市、グデルメスの郊外にかかる橋に設置されたロシア軍のチェックポイントが攻撃され、1名の内務省軍の兵士が重傷。

チェチェン軍とロシア軍の激戦が伝えられるヴェデノ、シャトイ、ノジ=ユルトの各地区で、ロシア軍による空爆と砲撃が加えられた結果、少なくとも23人の民間人が死亡、30人が重傷となった。

■掃討作戦の続くアレロイ村:50人の民間人の遺体発見/グラスノスチ財団、9/3

チェチェン側の情報筋によると、アレロイ村では、50人以上の民間人の遺体遺棄が発見された。そのほとんどは女性と子供であり、ここ最近の掃討作戦の際に拘束された人々であることがわかっている。

■ロシア政府庁舎爆破される/AFP,9/3

9月3日、チェチェンの首都グロズヌイの、厳重に警備されたロシア政府庁舎で大規模な爆発があり、少なくとも1名が死亡した。爆破当時、親ロシア政権の指導者カディロフ氏もこの建物の中にいた。カディーロフ氏はこれまでもチェチェンの裏切り者として、独立派レジスタンスによって目標にされつづけていた。他の被害は不詳。

捜査担当者によると、この日の午後、このビルの3階で、カディロフ氏を中心に週一回の政府のミーティングを行っていた際に、ビルの2階で爆発が起こった。これによって死亡した女性1名の身元は判明していない。

被害にあったグロズヌイのロシア政府ビルは、この4月に連邦政府がチェチェンの秩序を回復したことを示す式典とともにオープンしたばかりだった。しかし、レジスタンスの目標にされつづけていたため、このビルはチェチェン領内でもっとも厳重に警備されたビルとなっていた。

1999年10月1日にロシアのプーチン大統領が開始した「対テロリスト作戦」は、すでにロシア兵士3000人の犠牲のほかにも、多数の民間人とレジスタンスの犠牲を出している。

■ロシア政府庁舎爆破:チェチェン側が実行を声明/ロイター、9/4

9月3日、グロズヌイでロシア政府庁舎が爆破されたが、ロシアのRTRテレビがその様子を撮影していた。映像は当初、ビル内での親ロシア政権の閣議の模様を撮影していたが、参加者の発言をさえぎって、突然爆発音と激しい振動が起こった様子が記録されている。

この事件にもかかわらず、ロシアのプーチン大統領は、外遊先のフィンランドで次のように答えた。「戦争はすでに終結している。こういったことはごく小規模の出来事にすぎない。ご承知のとおり、軍事的なことは何も進行していないのだ」

これに対し、独立派のスポークスマン、モフラジ・イディゴフ氏は、「彼もチェチェンに来てそう言ってみればいい。われわれの答えは、"そう、われわれがビルを爆破し、南部の山岳地帯で2機のヘリを撃墜した"ということだ」と語った。

ロシアの公式筋は、この件で親ロシア政権の閣僚に負傷者はおらず、女性一人が死亡したと発表している。ビルに居合わせた人々は、他にも何名かが負傷しているとプレスに答えている。

親ロシア政権の首相、スタニスフラフ・イリアソフ氏は、この爆破が親ロシア政権内の裏切り者の存在を明らかにしていると指摘したものの、グロズヌイから逃げるつもりはないと断言した。「ここ4カ月、われわれはグロズヌイで執務をしており、政府機能の90%が集中している。ここを移動することはしない」と首相は語り、今後の攻撃に備えて警備はさらに厳重になると付け加えた。

チェチェン側のイディゴフ氏は、電話での取材に対して、今回の事件は「民族の裏切り者とロシアの占領軍を一掃するため」であり、2回目の爆破でロシア兵数人が死亡したと語った。この2回目の爆破についてはロシアでは報じられていない。レジスタンス側は、すでに10人以上の親ロシア政権指導者を殺害している。

レジスタンスとロシア軍の衝突はここ2週間の間、特に南部の山岳地域で激しさを増している。イディゴフ氏によれば、レジスタンス側はロシア軍のMi-8型とMi-24型のヘリそれぞれ2機を山岳地帯で撃墜したとしており、これまでの発表では3週間の戦闘中、撃墜数は6機にのぼる。

インターファックス通信の報じるところでは、チェチェン南東国境へと物資を輸送中のMi-8ヘリが撃墜されたことでロシア兵4人が死亡、2人が重傷となった。AVN軍事ニュースによると、Mi-24ヘリの撃墜と不時着により2名が負傷。

■無視されるチェチェン/ワシントンポスト社説、9/6

ここ2週間、チェチェンでの軍事行動はロシアに大きな犠牲を強いている。8月25日ごろより、チェチェンのレジスタンスは南部の町ヴェデノに猛攻を加えており、ロシア軍の指揮所を破壊して、銃器などを捕獲している。その後もレジスタンスは無数のヒット・エンド・ラン式のゲリラ攻撃を、ロシア軍部隊や拠点に対して繰り返している。そして3日、厳重に警戒されているはずのグロズヌイのロシア政府ビルでも爆破事件が起こった。

ここで注意したいのは、ロシアのプーチン大統領の対応である。3日、フィンランドでの記者会見の場で、「いかなる戦闘行為も起こっておらず、そのような形でのチェチェン問題は存在しない」と語っている。また「一部過激派がチェチェンの正常化を拒否しているだけだ」とも述べ、ここ10日間の戦闘、ヘリ撃墜、ロシアの若い兵士たちの死などをすべて否定した。グロズヌイでの爆破事件もなかった--これはスターリンの論法ではないか。とても全体主義から民主主義へと移行した国とも思われない。

チェチェンでは日々、ロシア軍による「浄化作戦」(ロシア軍が村々を包囲し、数十人の人々を拘束して坑道などに閉じ込めるなどする)や、ロシア政府が指名したチェチェンの政府関係者への報復、ロシア軍の基地の近傍での民間人の死体遺棄があり、十数万人の難民が隣国で悲惨な環境に置かれている。

国際社会も、これを無視している。ブッシュ大統領をはじめ、各国の首脳もこの問題に公式に触れようとしない。プーチン大統領のコメントは、チェチェンでの惨劇が無視され、忘れ去られていることを意識してのものである。クレムリンとしてはこの展開が都合がよいということだ。プーチン大統領のコメントが見当はずれのものとして響くためには、世界がこの問題の真実を追及しなければならない。

■チェチェン国民会議の開催予定/プラハ・ウォッチドッグ、9/1

9月15日、各地からの代表者によって構成されるチェチェン国民会議が、イングーシ共和国の首都ナズランで開催される。ロシア、ウクライナ、カザフスタン、グルジアなどのチェチェン人社会から代表が参加する。会議の目的は、チェチェンでの戦争停止と、政治的解決と、今後のチェチェン-ロシア関係の模索であるという。ラジオ・リバティーによる。

■編集室より

グロズヌイでのロシア政府ビル爆破事件は、この2年間、チェチェンで起こってきたことを象徴する事件である。チェチェンニュースでは、ロシア軍による、チェチェンの民間人への虐待や難民問題をくりかえし伝えてきた。こうした不当な扱いへの憎しみが積み重なった結果が、ロシアと親ロシアのチェチェン政府が同居するビルの爆破に結び付いたと考えているのである。

このほど英国で出版された、ロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリツコフスカヤ女史の「汚れた戦争」("A Dirty War", Anna Politkovskaya, The Hervill Press)によれば、昼間は親ロシア政権の警察官だが、夜間は自分の武器を手にロシア軍にゲリラ攻撃を挑む、そんな若者さえいるという。

日本のメディアではチェチェンでのロシアの行動が報道されることが少ない。今回のように、たまに爆破事件などが起これば報道されるが、本当に視聴者にとってわかりやすいニュースの伝え方をしているだろうか。チェチェンの暴力を取り上げるのならば、それを引き起こしているロシアの暴力を報道しなければ、視聴者/読者には戦争の現実は理解できないのではないだろうか。

ロシアは「テロリスト撲滅」作戦として、チェチェンを空爆し、地上軍を投入した。「浄化」作戦によって罪のない村人を虐待、あるいは虐殺してきたことが、国際機関や有力なNGOによって指摘されている。その上でプーチン大統領がコメントしたように「何も起こっていない」のならば、ロシアには法律は存在しえない。

法治の失われたロシアを、国家として承認しつづけるべきだろうか。(発行人)

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