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チェチェンニュース
Vol.01 No.23 2001.09.26

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■「信じられない事件だ」チェチェン大統領、連続テロ事件にコメント/ジェームズタウン財団、9/18

9月12日、アメリカでの同時多発テロに関して、チェチェン独立派のウェブサイトは、マスハドフ大統領の事件に関する感想を伝えた。同大統領は「ショックな事件だ! 単純な感想だが、こんなことは信じられない。この事件に手を下したのは誰なのか? その犯人は本当に人間なのか?」とした上で、「チェチェンの全国民が、アメリカ国民と同様に悲しみを覚えていることを知っておいていただきたい。われわれは悲劇とその痛みを共有している。すべてのテロ活動を断固として非難する。アメリカでなされたようなテロ活動を黙認する国々はすべて、国際社会からも非難を受けるはずだと確信する」(Chechen.org, September 12)との意見を表明した。

■戦闘状況/グラスノスチ財団、9/14

9月13日、グロズヌイの「クラスヌイ・モロー」工場の近くで地雷が爆発し、ロシア兵1名が死亡した。これをきっかけにグロズヌイ市内の第6地区でロシア軍による掃討作戦が行われ、目撃者によるとロシア兵は家々に押し入り、財産を略奪し、抵抗する者を暴行した。この掃討作戦により10人が負傷、うち3人は10代の若者だった。

チェチェン南部のヴェデノにおける戦闘はなお続いている。チェチェン側の情報によると、ザニ-ヴェデノの近隣において、軍用車両1台を破壊し、数人のロシア兵が死亡した。また、ロシア内務省の士官の一団が、ツサ-ヴェデノで戦闘により死亡した。

■オセチアでの反戦会議参加者逮捕される/グラスノスチ財団、9/15

9月15日に、北オセチアで開かれる予定だったチェチェン反戦大会の組織委員長のシャムサーリ・サーラリエフは、チェチェンの隣国、イングーシ共和国の首都ナズランのアッサ・ホテルで当日朝に逮捕された。数時間後、同大会の議長であるサランベック・マイゴフと、数人の参加者も近隣のカフェで逮捕された。

目撃者となった、グラスノスチ財団のセルゲイ・グレゴリアンツとロシアの「オブシャヤ・ガゼータ」紙の記者イリーナ・デメンティエーヴァの目の前で、マイゴフ氏は警官の暴行を受けて負傷した。イングーシに通じるすべての道は軍に封鎖され、大会参加者は拘束された。100名前後が逮捕されたという報道もある。

■軍用ヘリ撃墜により、ロシア将軍2名死亡/AFP、9/17

9月17日、チェチェン側レジスタンスの対空攻撃により、ロシアの軍用ヘリが撃墜され、搭乗していた将官2人と、その他の兵士21人が死亡した。チェチェン第2の都市グデルメスでも大規模な戦闘が発生した。

ロシアのグリズロフ内相は、グデルメスでロシア軍に対して300人以上に達する独立派レジスタンスによる夜襲が加えられ、日中も戦闘は続いたことを明らかにした。連邦側の情報によると、この戦闘で少なくとも10人のロシア兵が死亡し、8人の警察官が重傷。ヤストルゼムスキー大統領報道官は、15人のチェチェン人レジスタンスが死亡したと発表した。また、グリズロフ内相は、グデルメスに対する空爆の準備を進めていることを明らかにした。

今回の戦闘は、ここ数週間のチェチェン側の攻勢のなかでも最大のものとなった。チェチェンにおける親ロシア政権の警察当局は、レジスタンスが市内数ヵ所の拠点を確保したことを認めたが、全体の状況は今のところ不明確なままである。

インターファックス通信によると、攻撃を受けた軍用ヘリ、Mi-8はロシア軍の総司令部のあるカンカラ付近に不時着したが、乗員らの他に戦域軍上級司令官のアナトーリー・ポズダニヤコフ将軍と、国防省付のパーヴェル・バーロフォロメニエフ将軍の二人が死亡した。

チェチェンのマスハドフ大統領のスポークスマン、モフラジ・ウドゥゴフ氏は、AFPの取材に対し、軍用ヘリの撃墜は独立派レジスタンスによる戦果だと語った。また、他のチェチェン側の情報源は、独立派がすでにグデルメスを制圧したと伝えている。ヤストルゼムスキー報道官を始め、ロシア側のスポークスマンはこうした情報を否定し、グデルメスをめぐる状況がすべてロシア側の統制下にあることを強調している。

チェチェン側は他に、南西部の町ノザイ-ユルトを奪回し、首都グロズヌイ近郊のアルグンではロシア軍拠点に対する自殺攻撃により10人のロシア兵が死亡したと発表している。

グロズヌイのいくつかの地区でも戦闘が伝えられているが、ロシア軍当局者は否定を繰り返している。しかしグロズヌイのロシア軍はきわめて高い警戒状態にあり、親ロシア政権との折衝も見送られている。

ロシアは99年の10月からチェチェンに連邦軍、内務省軍などを派遣して制圧を図っているが、レジスタンスの抵抗により、目的は達成されていない。

■テロリストの連鎖<同時多発テロにチェチェンが関係?>/ジェームズタウン財団、9/18

ロシアのメディアでは、9月11日のニューヨークとワシントンでのテロ事件が大きく取り上げられている。数人のロシア人のコメンテーターは、国際社会が、ロシアのチェチェンでの行動に目を向けるべきだと発言している。「ユーラシア運動」の代表者であるアレクサンドル・ドゥーギン氏は次のように語っている。「チェチェンに関して言えば、アメリカでの出来事でイスラムのイメージはだいなしになった。プーチンの手は完全に自由になったのだ。彼はチェチェンのすべてを破壊することができる...国際社会は抗議さえしないだろう」と、一連の動きに警告を発している(Nezavisimaya Gazeta, September 13)。

ロシア連邦保安局や軍の数人のスポークスマンは、アメリカで犯行に及んだテロリストと、チェチェンの独立派に緊密な関係があるとの見解を明らかにしている。スヴェルドロフスク警察のユーリ・オヴチンニコフ副本部長は「同時多発テロに、チェチェンのテロリストが参加している可能性は排除できない」(Nezavisimaya Gazeta, September 14)と発言した。9月13日にイワノフ国防相は、この見方に対して、「アメリカでのテロにチェチェンのテロリストが参加しているという直接の証拠はない。しかしオサマ・ビン・ラディンとチェチェン人の関係は推測ではなく、事実だ」と語った(Lenta.ru, September 13)。

これに関連して、連邦保安局(FSB)内の匿名の情報源は9月12日に、「ロシアの特殊部隊が取り押さえた文書類から、チェチェンのテロリストに対してラディン氏が個人的に支援をしていることが判明している」と語った。チェチェンの首都グロズヌイで押収されたというこの文書類によると、「無法者たちの指導者のシャミーリ・バサーエフとハッターブの行動は、常にラディン氏の『世界の聖戦』に刺激を受けている」という(Strana.ru, September 12)。このFSB関係者は、「イスラム原理主義組織『ジャマータル・イスラム』が、アメリカでのテロ事件と、2年前のモスクワとヴォルゴノドスクでのアパート爆破で230人が死亡した事件の背景にいる」と断言した(Lenta.ru, September 12)。

■寺沢潤世上人/グルジアからの便り/9/19

チェチェンの平和を祈念し、ユーラシアを行脚する寺沢潤世上人(日本山妙法寺)からの便りが編集室にも届いた。これから上人はストラスブルグの欧州評議会をめざして行動を開始するとのこと。仏教者の立場から平和運動を続ける寺沢さんの存在は貴重である。通信には、現在のチェチェン戦争と連続テロ事件をどう考えるかが示されており、興味深い。以下は抜粋。

南無妙法蓮華経

南コーカサス、グルジアの古都、美しいトビリシを本日、出発して、欧州ストラスブルグの欧州評議会に向かいます。明後日21日から議員総会のチェチェン問題作業部会において、初めて、ロシア下院議員と欧州議員とチェチェン代表が二日間にわたって対話をします。

小子も出席するはずであったトビリシの国際会議も様々な圧力と妨害で流会となりました。小子の作成した決議案は、そのため国際会議の総意として採択する機会を失いましたが、この2年間、反戦と人権と人道の名において活動を続けているチェチェンのNGOが連名で、共同声明の平和提案として発表することが出来ました。二ヵ月の抗議断食を続けた難民たちや、モスクワへの平和行進を計画し強制退去させられた難民代表をはじめ、チェチェン救国委員会、難民国際委員会、チェチェン人権委員会など四十以上の市民団体がこの声明に結集し、これまで準備してきた国際諸宗教のチェチェン平和ミッションが、その平和提案の実現の任務を委託されました。この決議を、来るストラスブルグの議員総会でロシア側、欧州議会に、鮮明にチェチェン一般市民の平和の意志を伝えることが小子の任務となりました。

この法戦の最中に、ニューヨーク、ワシントンの惨劇が演出されました。まさしくここ数カ年の間うれいてきた21世紀の第三次世界大戦の宣戦布告であります。第六天の大魔王が動きました。チェチェン戦争で演出された手法*が今まさに地球規模で再演されようとしています。冷戦後十年のすべての改革の破綻の結末であります。中東、湾岸、バルカン、コーカサス、中央アジア、アフガン、カシミール、どれをとっても武力、経済力にものをいわせた左道、覇権の域を出ていません。西側の武力も、いわゆるイスラム原理主義の武力も、旧ソ連ロシアの武力も、第六天の魔王の眷属にすぎません。まさに寸善尺魔の感がいたします。しかしながら、外的な一切の現象は、ただこれ我が心中の反映に他なりません。

世界はチェチェンで起きたことが、旧ソ連ロシアの闇の権力がすでに法の統制から完全に自由となって平然とあらゆる世界的な犯罪、陰謀に手を染めつつあることに気がついていません。ロシア政府はもはや政府とはいえる代物ではないのです。もしや今度のアメリカへの公然の攻撃の背後に、この怖るべきロシアの陰謀があるとしたら、人類は核戦争の寸前にまで来ていることになります。おそらくチェチェンの人々は怖るべき代価をはらい、現代文明の無明の毒より心遂醒悟する最初の民族ならんことを祈ります。

お師匠様(藤井日達上人)の西天開教と一期の使命は、第二次世界大戦と同時進行でありました。高祖日蓮大聖人の本化の使命も又、全ユーラシアの大動乱と同時進行でありました。本師釈迦弁尼世尊の法華経の寂光の会座は、母国カビラ城の釈迦族の全滅の後であります。

遣使還告と心遂醒悟は大善と大悪とが感応する最後の如来秘密神通之力の他ではありません。日蓮一人南無妙法蓮華経と唱えしが、二人、三人、百人と次第に唱え伝うるなり、地湧の義とはこれかと仰せられました。

ユーラシアの全土に命のあるかぎり、この最後の秘法を唱え伝えましょう。合掌寺澤潤世拝有縁の人々 御中

注/チェチェン戦争で演出された手法:99年にロシア各地で爆弾テロが発生し、300人前後のロシア人が犠牲になった事件をさす。事件直後に当局は「チェチェン人のテロリストの犯行」と発表。事件の翌週にチェチェンへの軍事進攻を開始した。現在も犯人は逮捕されていない。

■「ロシア内務省に責任」日本人ジャーナリスト行方不明/グラスノスチ財団、9/23

国際組織「国境なきジャーナリスト」は、7月にチェチェンで行方不明になった日本人ジャーナリスト、常岡浩介氏の所在について、ロシアのグリズロフ内務大臣に責任があるとするアピールを発表した。当局は今後の適正な処置を約束したものの、常岡氏が正規の取材許可を持たずにチェチェン入りしたことを強く非難した。実際に内務省が常岡氏の身柄を確保しているかどうかについては伝えられていない。

■編集室より <連続テロ事件をめぐって>

9月11日の連続テロ事件について。すでに6千人を突破したというテロの犠牲者に、心から冥福を祈りたい。どんな個人、集団によるものであれ、テロリズムは決して許されない。

その一方、チェチェンで死んでいった6千人の市民と、ニューヨークで死んでいった人々の命は平等ではないということを、この2週間で思い知らざるを得なかった。これも悲しいことである。チェチェン戦争による死者数はいまだに明らかになっていないが、この春のロシア軍の発表では9千人のロシア兵が死亡した。武装したレジスタンスたちは別としても、それ以上の人々が理不尽に殺されていることは、まずまちがいないだろう。

さて、米国のブッシュ大統領は議会と国民に対して、テロリストへの徹底的な攻撃を誓う旨の演説を行った。投票の結果、ひとりの例外をのぞき、上下両院の518人の議員は大統領を支持し、4百億ドルの対テロ作戦予算を認めた。

518対1の立場を引き受けた勇気ある議員は、共和党のバーバラ・リー議員、55歳の女性である。彼女は「戦争は効果的な手段ではありません。多面的な問題に対する、一面の答えにすぎないのです。私たちは冷静に、何をすべきなのかを考えなければなりません」とワシントン・ポストに語っている。(発行人)

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