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チェチェンニュース
Vol.02 No.15 2002.07.02

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■新しいチェチェン専門サイト開設される

http://groups.msn.com/ChechenWatch/

本誌にも登場している渡辺千明さんによるWebサイト、ChechenWacth が開設された。このサイトは急展開を見せ始めたチェチェン情勢を、チェチェン独立支持の視点から評価してゆく情報サイト。時事の報道をはじめ、チェチェン、ロシアの主要人物へのインタビュー記事の邦訳、映像資料などが次々に追加されている。

渡辺さんは「私はブレジネフ時代から旧ソ連の非ロシア系の諸民族の動向に関心を持ってきました。1990年代後半、インターネットが普及すると、ロシアをはじめ旧ソ連諸国では、爆発的な勢いでその活用が始まりました。第2次チェチェン戦争は、その中で進行しています。一面それは、インターネット戦争なのです。特にロシア語、それに英語では、消化不良を起こしそうなくらいの大量のチェチェン情報が、真偽ごちゃごちゃの状態で渦巻いています。それらの情報を分析しながら、あまりに少なすぎる日本のチェチェン情報に情報の流れが引き込めないかと思って、ChechenWatchを立ち上げました。

私は、はっきりチェチェンの独立を支持しています。それが、お互いのためだと思っているからです。と同時に、民主的なロシアの確立にも声援を送っています。

大富さんたちがチェチェンニュースで頑張っていられるので、より資料的な要素の強いサイトをと思っているのですが、難しいですね。試行錯誤が続くと思いますが、BBSもついていますので、いろいろな方のご意見をいただけると嬉しいです」と話している。今後の発展に期待。

渡辺千明さんのメールアドレス:watanabechiaki@hotmail.com

【和平への動き】

■マスハドフの停戦提案

6月25日にチェチェン独立派のアスラン・マスハドフ大統領が、7月15日をめどに戦闘行動の停止を呼びかけた公開状をロシアのプーチン大統領に出し、サミットに集まるG8各国首脳に助力を依頼すると、モスクワの反応は混乱を極めた。一方でチェチェン問題担当のヤストロジェムスキー大統領補佐官が、「マスハドフの特別代表であるザカーエフ氏が、モスクワ側の全権代表カザンツェフと協議するのなら、これまでのプーチン大統領の方針に沿ったもので、なんら障害はない」と肯定的な発言をしたのに対し、イワノフ国防相は軍部の財源であるチェチェン戦争を死守しようと、交渉の全否定に出た。

そこでイワノフが持ち出してきたのが、マスハドフのグローズヌイ攻略指令書「ジハード2」なる作戦計画で、その攻撃の日付が6月25日だというのである。隠し玉に持っていた材料に日付あわせをして持ち出してきたペテンという説もあるが、ロシアのマスコミでも、これが全くのでっち上げである、と厳しい指摘を受けている。

アンドレイ・スミルノフ署名のgrani.ru掲載の記事は「強雨」というコードネームのマスハドフの別の指示書を引き合いに出した。この中でチェチェンの親ロシア政権やロシア軍による、「武装勢力はもはやとるに足らない数になり、戦闘行為は収束している」といった公式発表とは正反対だと指摘している。小部隊による多くの攻撃が的確に実施されており、若者を中心に武装勢力への志願者は減るどころか、ますます増えている状況だというのである。

さらに、「このままでは中間層というものがほとんどなくなって全てマスハドフの方になびく状況だ」とし、それらが評判の悪い「掃討作戦」に起因していると分析している。またスミルノフは、ハッターブの死去や、バサエフのスタンスの変化で状況が、マスハドフの権威をはるかに高め、集中させたとも指摘している。

おりしも、チェチェン視察からモスクワへ戻ったチェチェン選出のロシア下院議員アスランベク・アスラハノフ氏は、メスケル・ユルト村での見聞を、怒りの記者会見でぶちまけた。彼は元々連邦派で、「ロシアの一部としてのチェチェン」を標榜する人物であるが、ロシア軍の暴虐ぶりを非難して、ロシア軍こそ若者たちを武装勢力のいる山々に向かわせている元凶であると指摘した。この記者会見の模様をロシア政府系のstrana.ruが伝えたが、これを親ロシア傀儡政権側のサイトも、独立派のサイトも同文で転載したのは興味深い。

最新のロシアの世論調査では62%が、チェチェン戦争の独立派武装勢力との交渉による解決を支持しているという結果が出た。ロシアの世論が更に動けばポピュリストの政治家たちも考慮をせざるを得なくなる。それは欧米諸国など外部からの圧力よりも確実な力であろう。今やチェチェン戦争の終結は、ロシアの民主主義の将来を占う試金石なっているのである。(渡辺千明/本誌コントリビューター)

■「チェチェン人すべてがテロリストではない」プーチン発言

6月25日、ロシアのプーチン大統領は、記者会見で「連邦軍に対抗しているチェチェンの野戦司令官たちと、市民たちは当然別だ」と発言した。「チェチェン人へのネガティブなイメージに憂慮している。こうしたイメージは取り除かれなければならない」とした上で、現在各地で行われている「掃討作戦」はなるべく早い段階で終わらせ、通常の警察行動に移るべきだという意向を明らかにした。(RFERL, 2002.6.25)

■元ロシア安保会議書記、チェチェンとの交渉を勧告

6月27日付けの公開書簡のなかで、ロシアの元安全保障会議書記、イワン・ルイブキン氏は、プーチン大統領に対して、チェチェンのアスラン・マスハドフ大統領からの提案にのっとって交渉を奨める意見を明らかにした。これによると「電撃戦はすでに失敗した」とし、チェチェン戦争によって、他に振り向けられるべき貴重な人的、物質的資源が浪費されていると指摘した上、事態の収拾への協力を申し出た。(RFE/RL, 2002.6.28)

■駐ロ米国大使、マスハドフとの交渉を支持

6月27日、ヴァーシュボウ米大使はチェチェン問題について、「ロシア国内の重要な問題としてアメリカは憂慮している」と語った。インターファックス通信による。また同大使は、「政治的動向を戦闘の中止という方向に運ばなければならない。ロシアの指導者は適切な対話の相手を選ばなければならないが、マスハドフは非常に重要なプレイヤーだ」と語った。チェチェンのマスハドフ大統領との交渉をアメリカ政府として支持する意思を示すものと思われる。

■仲介役を買って出たルイブキン氏孤立

http://ntvru.com/russia/29Jun2002/rybkin.html

6月29日夜、ロシアのテレビ放送局NTVのインターネットサイトは、独立派との和平仲介役を買って出たルイブキン氏は、マスハドフ大統領を明確に<交渉相手、<正当な選挙で選出された大統領と位置づけた言動を咎められ、自らの党派(ロシア社会主義統一党=精神的遺産)で孤立し、党代表の資格を停止されたと伝えた。また同サイトでは、プーチン大統領側近のヤストロジェムスキー補佐官が、彼の仲介では1997年ハサブユルト合意の二の舞になると否定的な態度をとったとも伝えている。

【周辺諸国】

 グルジアに対するロシアの干渉が続く

■「グルジア指導部の交代を」ロシア退役将軍語る

6月28日のラジオ・リバティーの報道によると、ロシア下院安全保障委員会議長のアンドレイ・ニコラエフ退役将軍は、グルジア紙の取材に対して、「この間のシュワルナゼ政権のもとでは、グルジアには発展といえるものは何ももたらされなかった。グルジアの人々には、われわれがグルジアという国と対立しているのではないということを理解してもらいたい。グルジア人は新しい政府を必要としている。新しい政治家たちが政権をとれば、両国関係は正常化するだろう」と語った。この発言がグルジアの国家主権の侵害として新たな火種になる可能性が懸念される。(RFERL,2002.6.28)

■グルジアでチェチェン人ジャーナリストが釈放

6月25日、トビリシ地方裁判所は3月末にグルジア当局によって逮捕されたジャーナリストを釈放した。イスラム・サイダエフ氏(チェチェン人)とズラブ・カンゴシビリ氏(グルジア人)は、アルカイダと関係を持っていたとして拘留されていたが、検察側は有効な証拠を提出できず今回の釈放となった。(RFERL, 2002.6.26)

■アブハズ人、大挙してロシアのパスポート取得

6月1日以降、グルジア西部で分離独立を求めている「アブハジア共和国」の国民が大挙してロシアの市民権を獲得しようとしている。この動きは、アブハジアの公的機関、アブハジア/ロシア人社会会議が、アブハジア人のソビエト時代の旅行書類を取り集め、ソチにあるロシア外務省の出先機関に送付し、ロシアの市民権のページを追加した上で持ち主の元に送り返すというもの。アブハジア当局は「違法なキャンペーンだ」として関与を否定しているが、政府内部の匿名の情報源によると、ロシア政府との合意のもとに行われているという。グルジア議会はこの件を問題視し、OSCEの議員総会に持ち込むという。(IWPR, 2002.6.27)

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