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チェチェンニュース
Vol.02 No.42 2002.11.12

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■アムネスティーインターナショナル ロシア関連情報

アムネスティー・インターナショナル 情報センターロシア・グループサイトから(翻訳・転載/チェチェンニュース編集室および ChechenWatch )
http://www.amnesty.ru/

アムネスティー・インターナショナルのアイリーン・カーン事務局長は、ロシアの人権諸団体と共同作業を展開するため、11月1日午後にモスクワ/ゼムリャノイ・ワルのサハロフセンターで、今後の協力体制確立のための円卓会議を開催した。

カーン事務局長は、10月31日、モスクワ都心部、オホートヌイ・リャド通りのロシア下院を訪問し、議員たちと懇談した。

2002年10月25日、アムネスティー・インターナショナルは次のように声明した。「アムネスティー・インターナショナルは、本日モスクワの劇場でチェチェン武装勢力構成員と思われる武装グループにより数百名の人質が取られていることについて、厳しく非難するものである。いくつかの報道によるところでは、武装グループはロシア軍のチェチェン共和国領内からの撤退を要求し、要求が通らない場合、人質を殺害すると脅迫している」

カーン事務局長は、「人質を取るという行為はいかなる状況にあっても許されるものではない。それは平和な住民の暮らしを脅かし、その権利を侵害するものである。われわれは今回の事件を引き起こした責任者に、直ちに、かつ無条件で、全ての人質に危害を加えることなく解放することを要求する」と声明している。国家には自国民の安全を守る義務と責任があることを十分に心得つつも、アムネスティー・インターナショナルはロシア当局には国際的基準を厳しく守って武力行使がなされることを呼びかける。

背景:チェチェン紛争では国際的な人権と人道的な法秩序が深刻に踏みにじられている。アムネスティー・インターナショナルが、注意深く多くの事例を検証してきた結果、ロシア当局には広範な人権侵害−拘留者の行方不明、裁判抜きの処刑と拷問、性的暴行−に多大な責任があると認識している。

また、チェチェン軍当局の側の国際人道法違反も指摘せざるを得ない。チェチェン戦士は、一般市民の居住区周辺における市民保護を軽んじている。親モスクワ行政機構に勤務する市民を襲撃の対象としているため、結果として多くの人々が殺傷されている。また人質として誘拐されるという事例も多々ある。

アムネスティー・インターナショナルは、人質を取るという行為はジュネーブ条約に違反するものであるとして非難する。

■ロシア軍、グローズヌイ郊外のアパート3棟を爆破

11月5日付けのモスクワ人権情報センター「プリマ・ニュース」によると、チェチェン駐留ロシア軍は、ハンカラ基地に隣接する5階建て住宅3棟に潜んだチェチェンゲリラが、軍のヘリコプターを撃墜したという理由で、この住宅から住民を追い出して爆破した。人権組織「ロシア・チェチェン友好協会」は、ここに居住していた住民たちには、家具を運び出す余裕も与えられず爆破が実施されたと伝えている。

住民たちは、モスクワ在住の弁護士アブドゥル・ハムザーエフ氏に連絡を取り、最高検察総長、軍検察総長らにあてて、「グロズヌイ市ハンカラ通りの住宅爆破は、地元住民と、イングーシ共和国からようやくチェチェン共和国に帰還を果たした人々から住居を奪ったもので、軍の行為はロシア国民の私有財産の不可侵を著しく侵害する行為として訴追されるべきだ」と訴えている。冬を控えて住居を失った人々は途方に暮れている。

http://www.prima-news.ru/news/news/2002/11/5/21442.html

■住宅爆破事件:軍関係者、爆破した住宅は無人と反論

グロズヌイ郊外でのアパート爆破事件は大きな反響を巻き起こし、モスクワのマスコミが大きく報じたため、軍関係者は釈明に大わらわになっている。北コーカサス合同軍副司令官ボリス・ポドプリゴルによると、「住民を追い出して爆破した事実はない。これらの建物は無人の廃墟だった」という。関係者の発言を追うと、次のようになる。

ロシア軍対テロ作戦本部代表イリヤ・シェバルキン大佐は、「取り壊すべき建物は5棟、住んでいる住民は、武装民兵がヘリコプター撃墜を準備しているのをよく知っていた」と発言するなど、軍内部の足並みの乱れが目立っている。

また、親ロシア行政府関係者も発言しだした。チェチェンにおける親ロシア政権のセルゲイ・イリヤソフ首相は、「確かに2棟は廃墟で、1年以上前から取り壊しと決まっていた。しかし人々が居住していた棟もあった。取り壊しの決定は、行政府と軍が協議すべき問題だ。ヘリコプターの発着位置を変更するという事も考えられるのではないか」とした。

親ロシア政権のルドニク・ドゥダーエフ安全保障担当書記は、「臨時行政府は軍に対し、性急な建物撤去を差し止めようとしたがうまくやれなかった。ただ、ラジオ・リバティーが伝えたような、100世帯が野天に放り出されたというのは間違いだ。住民には、代替の住居が手当された」と発言した。

チェチェン選出のアスランベク・アスラハノフ下院議員は、「助手を派遣して実態を調査中だ。住宅撤去が法令に違反して行われたとすれば、軍責任者、撤去責任者らは国会に召還され責任を追及されるべきだ」と、強い懸念を表明した。

http://grani.ru/War/Chechnya/m.13803.html

■モスクワ劇場占拠事件 死者125名・行方不明者82名に

11月7日のカフカスセンターによると、ロシアのニュースサイト、 news.ru などが合同作業しているモスクワ劇場占拠事件における人質の追跡調査で、行方不明者数が当局発表数より大幅に異なっている問題で、調査の現況を次のように伝えている。

現在の当局発表では、死亡者数120、行方不明者0であるが、 news.ru などの調査では、死亡者125名、行方不明が82名におよんでいる。これについてロシア検察庁は、事実無根であり、行方調査の捜査願いは、当庁には一件も提出されていないとしている。

http://www.kavkazcenter.com/russ/article.php?id=2472

一方、同日のロシアのニュースサイト gazeta.ru は、モスクワ市検察局の発表として、劇場占拠人質事件の最新の死亡者数は128、うち120名がロシア市民、8人が外国人とした。また、うち5人が、武装グループの行為による銃傷が死因として、それら5名の姓名を公開した。

http://news.ng.ru/2002/11/07/1036658882.html

grani.ru をはじめ、テレビ局 REN-TV 、ラジオ局「モスクワのこだま」、 Vajno.ru 、通信社 News.ru が、元人質の行方確認を続けている。というのも、特殊部隊突入以前に発表された人質の人名リストの数と、突入後に解放された人数に大きな開きがあり、当局が死者数をごまかしたのではないか、という疑問が根強く存在するからである。

ソ連時代と変わらぬ秘密主義を突き崩す、地道な戦いが続けられている。彼らの調査で当初行方不明だった人々のうち、79名の生死が解明された。内容は34名の死去、45名の生還がである。未確認者はまだ80名以上いる。

プーチン政権の発表内容も、その矛盾が指摘されている。まず、「チェチェン民兵たちの人質射殺開始を察知して突入した」という当局側の発表を覆す報道がある。26日、特殊部隊による制圧の当日、トルコのカフカス基金サイトには、劇場から逃亡した占拠グループの残党からの情報として、「バラーエフ司令官は、催眠ガスの浸透に気づき、突入が近いことを知ったとき、仲間の要求を抑えて、劇場の爆破を禁じた」という記事が掲載された。

http://www.kafkas.org.tr/russian/Ajans/2002/ekim/26.10.2002_4_cecen_kacti.htm

そこには、「この事実の真偽は、生き残った人質たちが、きっと証明してくれるだろう」と書かれていた。当初、これは独立派の誰かが作文した根拠のない記事の一つかとも思われた。しかし、その後徐々に傍証が上がってきた。

人質のひとりとなった16歳の少女の証言によると、「犯人たちは冷静で、それほど怖いと思わなかった。それに、占拠犯のマリアという女性が、自分たちは死んで行くけれど、あなた方は助かるはずだからと、自分を励ましてくれた。チェチェンで人々がどんなに辛い生活をしているかを聞かせてもらった。それは今までまったく自分の知らなかったことで、強い印象を受けた」という。

http://mn.ru/issue.php?2002-42-3

また、インターファックスの記者で、観劇中に事件に巻き込まれた女性も、ミュージカルの演出家で人質となった男性も、それぞれが「当局の言う人質射殺はなかった。」と朝日新聞記者に証言している。

http://www.asahi.com/international/update/1108/001.html

一方、特殊部隊のアルファの隊員は、「意識を失っている犯人の女性を次々至近距離から射殺したが、けっして気持ち良いものではなかった」と心境を吐露しているが、これは当局側に犯人を逮捕しようという姿勢が当初からなかったことを示している。

これらの報道が示すところは何だろうか。一つの仮定は、特殊部隊の突入が人質救出という人命尊重の観点からではなく、強引に制圧して、場合によっては犯人側を挑発して建物全体の爆破を誘発してでも、「国際テロリズムと敢然と闘うプーチン政権」というイメージをつくるという、政治的思惑で行われたというものだ。

だが、「突入作戦の成功」は、使用されたガスの解毒剤も現場に用意しない杜撰さによって、犠牲者の数120名以上という、悲惨な結果をもたらした。(渡辺千明)

■チェチェンでロシア軍による劇場事件関係者宅の爆破がつづく

11月8日から、チェチェンでは、モスクワ劇場占拠事件の関係者宅がロシア軍に爆破されはじめている。

インターファックス通信によると、チェチェン西部のアチホイ・マルタンで、事件の参加者とされる女性、アセト・ギシヌルカーエワの自宅に、迷彩服を着用した数名の男性が8日午前2時20分ごろ乱入してきて、居住者の女性2名と子ども2名を強制的に自動車に乗せて家屋から遠ざけると、家屋を爆破した。この事件は、地元行政責任者が通信社に連絡して違法行為が判明した。

この件に関して、人権活動家で、ロシア下院議員のセルゲイ・コバリョフ氏は、「イスラエルのやり口を猿真似した、憎しみを増殖させる愚行だ。指揮している合同軍司令部の責任は重大」と警告し、またチェチェン選出のアスラハノフ下院議員は、「こうして人の住んでいる家を爆破するという犯罪行為は許されてはならない」と非難した。

http://grani.ru/War/Chechnya/m.13958.html

また11月9日のカフカスセンターは、アルグンで、劇場占拠事件のモフサル・バラエフ司令官のかつて所有していた家屋が、多数のロシア軍兵士に襲われて爆破されたと伝えている。

http://www.kavkazcenter.com/russ/article.php?id=2514

爆破された家は1年以上も前に所有権が移っていた。にもかかわらず、ロシア軍は、家人を路上に追い立てると家屋を爆破した。

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