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チェチェンニュース
Vol.03 No.03 2003.01.10

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■チェチェン人権監視団、活動停止を余儀なくされる

1月1日、チェチェンに駐在して人権状況の調査を行っていた欧州安全保障協力機構(OSCE)の現地事務所が閉鎖されようとしている。人権NGOのヒューマンライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)が伝えた。

これによると、OSCEのミッションは12月31日までの期限付きとなっていたが、期限延長を巡る交渉のなかで、ロシア側が期限の更新を認めなかった。OSCEのチームは6人の職員からなり、2001年の半ばから人権と人道状況および平和的解決の可能性についての調査にあたっていた。

HRWのエリザベス・アンダーセンは、「OSCE事務所の閉鎖は、チェチェン情勢の安定化を演出するためにチェチェンでの人権状況への調査の機会を奪おうとするロシア側の戦略の一部です」と語った。なおこの後、1月6日にロシア大統領府の人権委員会のエラ・パムフィロヴァ女史は、OSCEの活動について、「チェチェンでの人道上の問題を改善するための活動ならば可能」との見解を明らかにした。

http://www.hrw.org/

■イングーシの難民キャンプでチェチェン人青年の逮捕

1月7日、イングーシ共和国のスレプツォフスカヤに近いサツィータ難民キャンプで、ロシアと親ロシアのチェチェン政府当局が、4人のチェチェンの青年を逮捕した。事件当時、武装してマスクかぶった兵士たちが軍用車UAZに乗って現れ、キャンプを捜索して数人の男性を車に押し込んだ。数人の難民がとりなしそうとしたが、小銃で殴られた。逮捕された青年たちの所在は不明である。

4人の青年は、昨年5月に逮捕された5人の難民と同様の状況にあると思われる。ロシアの人権団体メモリアルによると、その5人(リズバン・ユヌソフ(16歳)、マゴメッド・カジムラドフ(17歳)、アフメド・エルマザエフ、リズバン・ナブルゾフ、マゴメッド・ソルサノフ)は、ロシアの警察に捕まり、非合法武装グループに参加したと自白させるための拷問を受けた。5人とも、武器の不法所持で立件されている。また、カジムラドフはパルチザングループへの参加を容疑をかけられている。以上ロシアのプリマ・ニュースより。サツィータ難民キャンプは、主にサウジアラビア赤十字の支援する難民キャンプで、百数十のテントが並んでいる。

http://prima-news.ru/eng/news/news/2003/1/7/22337.html

■グローズヌイ親ロシア傀儡政権庁舎爆破事件に湧きだした疑念

12月27日午後に起こった「自爆テロ」事件は、年を越した1月2日になっても謎が解けない。その中、病院に収容された負傷者の中から死亡するものも出て、死亡者は83名にのぼっている。シャヒード(殉教者)による自爆攻撃と言われてはいるが、チェチェン側の如何なる組織も関わりを認める声明を出したものはおらず、殉教者たちの氏名も素性も不明である。

この中でロシア側からいくつか不審な点を指摘する報道がなされている。一つはインターファックス通信が伝えた、自爆攻撃を敢行した殉教者たちは、容貌がカフカス系でも、アラブ系でもなく、スラブ系の容貌をしていたと、チェチェン内務省(親ロシア派行政府)が情報を流しているというもの。これは、ロシアのインターネット新聞、gazeta.ruが29日づけで伝えた。

http://www.gazeta.ru/cgi-bin/newsarc.cgi

短いものなので全文を紹介すると、「チェチェン内務省は金曜日中にグローズヌイの政府庁舎をテロ攻撃した3人の実行犯につき、次のような見解を公表した。3人は全てスラブ系の容貌をしていた。加えて彼らは、訛りの無い、綺麗なロシア語を話した。と、29日にチェチェン内務省ルスラン・カツァーエフは語り、犯人たちのうち2人の頭髪は明るい金髪だったと付け加えた」という。同様の内容をより詳しくgrani.ruも伝えている。

http://grani.ru/War/Chechnya/m.18347.html

これより先、12月28日のgrani.ruは、インターファックス通信の次のような記事を配信している。チェチェン内務省(親ロシア派行政府)のアフメド・ダカーエフが語ったところでは、自爆攻撃に使用された車両は、大型軍用トラックKamAZと小型4輪駆動車UAZであるが、双方ともグロズヌイ市内および政庁付近数カ所のチェックポイントで、ロシア合同軍司令部の物品輸送に関する複数の完璧な証明書を呈示し、問題なく検問を通過している。チェックポイントの兵士の報告では、乗務していた人々は、いずれもカフカス人の容貌ではなく、ロシア軍の迷彩服を着用し、KamAZに乗っていた一人は少佐の肩章を、もう一人は兵卒の肩章であった。UAZを運転していた者は少尉の肩章を付けていた。

http://grani.ru/War/Chechnya/m.18295.html

これらは、ディスインフォメーションの可能性も捨てきれないが、いくつかの可能性を示唆している。ひとつは、この政府庁舎での爆発が、本当にシャヒード(殉教者)による自爆攻撃によるものだったのか?という問題である。

これまで、10月末の劇場占拠人質事件を含め、独立派は自分たちが関与した事件では関与を認め、チェチェン人OMON(民警特別部隊)の乗ったバスの爆破や、定期バスの爆破、グロズヌイ市内の民警署爆破事件などでは関与を明確に否定してきた。最後の民警署爆破事件は、親ロシア派内務省の捜査で、内部の不満分子の犯行と判明している。これまで、チェチェン独立派政府関係の声明、マスハドフ大統領、ザカーエフ副首相らは、チェチェン政府の統制に服さない分子の自殺行為として、心情的な動機は理解できるが、行為自体は支持できないし、チェチェン政府は、政庁舎爆破と無関係と主張してきた。

チェチェンプレス:
http://www.chechenpress.com/news/12_2002/8_28_12.shtml
http://www.kavkazcenter.com/russ/article.php?id=3084

日本語:
http://groups.msn.com/ChechenWatch/general.msnw?action=get_message&mview=0&ID_Message=699&LastModified=4675402971923582182

ところが、1月1日付けのチェチェン独立派政府公式サイト、チェチェンプレスは、マスハードフ派に指導されている独立派の社会組織、ChKNS=チェチェン国民救済委員会のルスラン・バダーロフ代表の声明を掲載した。この声明は、 自動車爆弾テロというこれまでの事件の捉え方自体に疑問を提起した。屋外の建物のかなり離れた地点に直径4mものクレーターができたこととから、事前に爆弾を仕掛けたか、ロケットが打ち込まれた結果爆発が起こったのではないかとした。そして考えられる動機の一つとして、行政府内の公金不正使用の乱脈が以前から問題になっており、(一部ロシアマスコミの報じるところでは7億ルーブリ)、モスクワから派遣された特別監査官による監査が行われる直前の事件発生と指摘している。

http://www.chechenpress.com/news/01_2003/7_01_01.shtml

拙速な判断は慎むべきであるが、現時点では、今回の事件がマスハドフ政権の統制に服さない、独立派の自爆テロであることを明確に証明する明確な証拠は何もないのである。

(2003.01.02 渡辺千明/本紙コントリビューター)

■世論調査:ロシア国民の過半数、チェチェン独立派との和平を支持

1月9日付けのロシア野党系インターネット新聞、グラーニは、全露世論調査センター(VTsIOM)が2002年年末にロシア全国33地方83市町村1600人を対象に行った世論調査で、56%が、チェチェン独立派との戦争終結に向けた交渉開始を支持していると報じた。

またこの世論調査で、戦争継続を支持するものは36%、またロシア軍のチェチェンでの活動が不成功と見なすもの33%とも 伝えている。平和交渉開始を支持するもの56%、58%は、戦争は巧く行っていないとみなしている。交渉派のうち全体の11%が大損害を受けていると見なしている。

過半数の63%がチェチェンでの軍事行動に危機感を募らせ、7%のみが軍隊の行動に満足感を表明している。15%は軍隊の行動はロシアの恥と感じ、1割の者はチェチェンの事などどうでも良いと無関心だった。

チェチェンにおける軍・治安当局の行動は十分に厳格であるとする者18%、48%はもっと厳格であるべしと考え、16%は厳格に過ぎると考えている。ロシア当局がテロリストとの闘いに終止符を打ち、ロシア国民を新たなテロから守りうると考える者は19%に過ぎない。実に3/4の人々が不可能と評価している。

全体的な評価として言える事は、世論の兆候が劇場占拠人質事件以前に戻ったと言うことである。プーチン大統領のチェチェンで国民投票を行ってそれでチェチェン問題が解決するという路線の支持者は18%にすぎないと言うことである。

ほぼ同数の者が、問題の最善の解決策として、対戦相手との交渉と実質的なチェチェンのロシアからの分離を支持している。また1割は国際組織の平和交渉への参画を支持している。たった12%の者しかロシアのマスコミが公正なチェチェン報道をしているとは評価せず、36%はマスコミが主観的で、現実と損害を隠蔽していると考え、42%は報道は表面的で適正な報道をしていないと考えている。

80%の回答者がブダーノフ事件に意見を表明した。約半数がブダーノフに同情的である。全くブダーノフ大佐に罪はないと見ている者22%、状況から見て彼の行為が正当化されるとする者17%である。8%のみが、裁判の結果を妥当と見ている。17%が、この判決をより厳しい刑から彼を救う方策と見なし、さらに同数が彼が法的に責任をとれないとする判断はロシア軍の責任回避と見なしている。

終身刑囚サルマン・ラドゥエフの死について、26%のみが自然死であるとする公式見解を信じるだけで、46%が暴力行為により殺されたと考えている。

http://grani.ru/War/Chechnya/p.19083.html

■チェチェン子ども舞踊団、プラハ入り

1月6日午後、チェチェンの子ども舞踊団「マーショ」がプラハ入りし、出し物「戦争の前にはおもちゃがあった」の2週間の公演ツアーに入った。「空港に着いた子どもたちの姿は、まるでエネルギーの塊でした」今回の招待を組織したバーケット市民協会のジャーナ・ヘラドリコヴァは、到着ラウンジでの第一印象をそう語った。チェコのバーケットでは、チェチェン戦争下の生存環境の向上のための運動が活発である。

http://www.watchdog.cz/?show=000000-000011-000003&lang=1