チェチェン総合情報


チェチェンニュース Vol.03 No.22 2003.05.21

発行部数:938部

■チェチェンの野戦司令官、北部地方での自爆攻撃について犯行を声明

5月19日、独立派のサイト、カフカスセンターなどに、野戦司令官シャミーリ・バサーエフの声明が掲載された。これによると、5月初旬の北部地方での自殺攻撃は同司令官が関与したものだ。

http://www.chechenpress.com/news/05_2003/1_19_05.shtml

ロシアの軍人とともに、多数の民間人が死傷する事件が起きたのち、チェチェンの独立派政府が関与を否定し、のちにバサーエフが犯行声明を出すパターンは、去年10月のモスクワ劇場占拠事件以来続いている。チェチェン独立派内部での不調和があらわれている。

「戦えば犠牲は20万人で済む。戦わなければ皆殺しにされる」と話したチェチェン人がいた。94年からの10年近い戦争の中でチェチェンの普通の人々は追い詰められている。バサーエフのような過激派野戦司令官が自爆攻撃を企図する構図は、しばらく続きそうだ。(2003.05.20 大富亮/チェチェンニュース)

関連記事/「チェチェンテロ組織指定」に二つの意味:
http://www9.ocn.ne.jp/~kafkas/chn/0310.htm

■爆弾事件はゲリラの方針転換の現れか

(チモール・アリエフ/ズナーメンスコエ)

チェチェンで5月12日と14日の2件の爆弾事件は、少なくとも75人の命を奪った。この事件は、チェチェンゲリラの、過度に残虐な戦術への方針転換を示している。

5月12日、大規模な爆破事件が、北西部の村ズナーメンスコエで発生し、59人が死亡した。もともとは親ロシア的で、よく統治された地域とされていたのだが。そして14日、チェチェン東部の村イリスハン−ユルトで、イスラムの宗教祭典の最中に爆発があった。ロシア内務省によれば、攻撃者は二人とも女性で、目標は祭典に参加していた親ロシアのチェチェン人指導者、アフメド・カディロフ臨時行政府長官だった。二人の女性はカディロフの警備員に止められ、一人はその場で自爆した。爆発物は誘爆こそしなかったものの、二人とも死亡した。数日間の間に死亡者は16人に達し、140人が負傷した。

ズナーメンスコエに置かれていたナドテレチヌイ地区行政府の職員であるマリカ・ユスポーヴァは幸運にも、ちょうど建物の反対側にいて、軽傷で済んだ。「もし自分の事務室にいたら、死んでいたわ」と彼女は言った。

事件当時、村のメインストリートに一台のトラックが走ってきて、封鎖用のブロックに激突して爆発した。専門家の推定では、1トン相当の爆発物が使われたらしく、通りの両側の8棟の建物を崩壊させるのに十分な爆発力だった。その中には、親ロシアの行政府や、ロシア連邦保安局(FSB)の建物が含まれていた。目撃者によると、トラックには女性二人、男性一人が乗り込んでいた。この攻撃の結果、23人の女性が死亡、12人の子どもが死亡したという。

連邦政府側はこの爆破の主謀者が独立派のマスハドフ大統領だと非難し、その一方でマスハドフのスポークスマンは、マスハドフとは関係のない過激派の活動だとして関与を否定している。

この爆破事件で、チェチェンの過激派が、中東でよく見られるような自殺戦術を選び始めているように見えてきたとは言える。5月12日のズナーメンスコエでの事件は、チェチェンでは象徴的な日付に発生した。1997年のこの日に、チェチェンのマスハドフ大統領とロシアのエリツィン大統領の間で和平条約が結ばれたのだ。この時、両国は「紛争解決のために武力を用いない」という原則を確認した。ズナーメンスコエの攻撃者たちは、軍事目標ではない場所を選んだことで、過去の和平条約に、きわめて皮肉な反証をしたことになる。この爆破で死んだ軍事関係者は、FSB職員2名だけだったのだ。

最近、ゲリラたちは、もっぱら地雷戦術に専念している。4月にも、グロズヌイ中心部の、地雷除去が行われたばかりの場所で5人のFSB将校たちが殺された。軍当局者の推定では、毎週10台の軍用車が爆破され、100個以上の爆弾、地雷が発見されては処理されている。兵士たちが地雷探知機を手に路肩をゆっくりと歩いている姿はチェチェンではおなじみだ。装甲兵員輸送車は、その後ろをのろのろと走る。

グロズヌイの警察官によれば、ゲリラたちは、ロシア軍の移動のルートを知るや、夜中に地雷を埋めに来る。そういった地雷のほとんどは自家製だ。ロシア工兵隊の指揮官によると、「ほとんどが、122か152ミリ砲弾をもとにしている。装甲兵員輸送車を吹き飛ばすには十分だ」という。ゲリラたちはこれらに金属片を加えたりして、破壊力を強める。

<アブドラフマン・イリアソフ>と名乗る十代の少年は、小遣い稼ぎのために何度も地雷を仕掛けたことがあると話した。「一度、僕が仕掛けた地雷の上を装甲車が通るのを待っていたときさ、ロシア兵が地雷をみつけたんだ。<その地雷を除去するな、まだ一人も殺していないのに!>と思ったよ」彼によると、地雷を埋めるだけで30ドルから100ドルがもらえる。直撃すればその3〜4倍の報酬がもらえるのだ。これに外国からの資金が使われているという意見もある。

ゲリラ側はこの夏に向けて、新たな攻勢を予告しはじめている。ある司令官はビデオテープでのメッセージの中で、「われわれは現在、軍の再編と作戦方針を検討している」と語った。

http://www.watchdog.cz/