チェチェン総合情報
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チェチェンニュース Vol.05 No.04 2005.02.12

発行部数:1694部

■チェチェン停戦のインパクト (大富亮/チェチェンニュース)

 2月2日、チェチェン独立派のマスハドフ大統領が、一方的な停戦命令にサ インしたことが「カフカス・センター」に掲載され、チェチェン側からの武力 行使が停止された。6日のロイター電では3日〜6日の間、チェチェン側から の攻撃はなく、軍事的な側面に限ってはチェチェンは平穏だったとある。ロシ アのコメルサント紙は、マスハドフへのインタビューを掲載し、その中でマス ハドフは「この停戦の目的は、和平交渉へ向けた、純粋な善意の表示だ」とい う意味のことを言っている。

マスハドフへのインタビュー(英訳版):
http://chechennews.org/news/20050207Kommersant.htm

 しかしその日過激派の野戦司令官バサーエフが、イギリスのチャンネル4の 特別番組でビデオを通してインタビューに答え、その中で「今後もベスラン型 のテロを続けるつもりだ」と発言したことの方が世界的にも大きく伝えられ、 本来の平和的なメッセージの意味が混乱というか、半減する結果になった。

バサーエフ、イギリスの民放でインタビューを受ける:
http://chechennews.org/chn/0503.htm

 「マスハドフは抵抗勢力を把握していない、したがって交渉の必要などな い」というロシア側の主張は、バサーエフの動きによって半分裏付けられ、一 方的停戦が実現したことで、半分は間違っていたことになる。停戦期限の2月 22日の翌日は、チェチェン民族強制移住記念日。1944年の2月23日、チェ チェン・イングーシ人たち50万人が、スターリンの命令とベリヤの指揮によ り、カザフスタンに強制移住させられた。移住させられた人々のうち半数が死 亡したとまで言われる惨事だ。この日を乗り越えて停戦を続けることは、政治 的なジェスチャーとしても、できない相談なのかもしれない。

 99年からの第二次チェチェン戦争の中で、初めての停戦。どう和平に結び つくかは、まだ楽観できない。ロシア政府当局は今のところ沈黙を守ってい る。下手に対応してことを大きくしてしまうと、「和平交渉するべきだ」とい う世界的な声があがりかねないためだと思う。チェチェン問題をある程度知っ ている人ならば、まずチェチェンを力づくで組み伏せればいいとは思わないは ずだ。

 マスハドフの和平の呼びかけに対してロシア政府は反応していないが、マス ハドフのインタビューを掲載したコメルサント紙は、メディアを統括する当局 から警告を受けた。「過激派に言い訳と正当化の機会を与えた」として。交渉 をなるべく避けて、武断的な解決策にすがろうとするロシア政府。しかし、ロ シア社会にも一部に根強い「チェチェンと交渉を」という声が強くなったと き、政府の権威がぐらつく。また、1月に入って、年金受給者や退役軍人を中 心に、ソ連時代から続いていた交通費や医薬品無料の恩典が廃止されたために ロシア国内では急激にプーチン政権への不支持が広がっている。

 プーチンは権力は握っているが、経歴のある部分がすっぽりと抜け落ちてい て公表できない部分の多い人物なので、たたき上げの政治家であったエリツィ ンなどに比べると、その基盤は弱いと思う。ある部分というのは、KGB時代 と、それに続くサンクト・ぺテルブルグでの官僚時代だ。プーチンは今も、サ ンクト時代の1991年の汚職疑惑を抱えたままだ。

 いままで、後ろ暗い部分は人気に隠れて(その人気のほとんどはチェチェン に対する強硬姿勢によって作られた)、さほど騒がれずにいたのだが、チェ チェン情勢が泥沼化し、弱者切り捨ての政策を進めるとなると、今後は今まで の通りにはいかないだろう。経済に長けた、そして多分にマフィアとも結びつ いたサンクト人脈を、ロシアの人々はどんな目で見ているのだろうか。

 プーチン政権側が、その微妙な立場も含めて「沈黙」を守らざるを得ないと すれば、今、チェチェン独立派側は「平和攻勢」をかけるべきタイミングにい る。慎重に推移を見守って、ときどきこのニュースで報告したい。

■命の危険にさらされるチェチェンの人権派弁護士

 アムネスティから、次のような緊急行動要請が届きました。ロシア軍によっ て拉致されたと見られるマゴマドフ弁護士は、チェチェンの隣、イングーシ共 和国を中心に活動するチェチェン人たちのNGO連合体、「チェチェン民族救済 委員会」(と訳されたりいろいろ)のに務めていた人物で、ロシアのNGO、 「ロシア・チェチェン友好協会」とも協力関係にあったとのこと。

 チェチェン問題に関わっているNGOのワーカーが危険にさらされることはよ くあります。誘拐、不当拘束、銃撃。2000年に日本を訪れたロシア人の平和活 動家ビクトル・ポプコフ氏は、翌年にチェチェンで人道援助物資を運んでいる さい、ロシア兵に至近距離から銃撃され、死亡しました。

 このアピールの最後に、ロシア大統領あての要望文(英文)と、当局の ファックス番号などが書かれています。これを使って、あるいはあなた自身の 考えを書き足して、送ってください。(CN編集)

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UAナンバー: UA 18/05 国際事務局発信日: 2005年1月21日
AI INDEX: EUR 46/002/2005 翻訳担当者: 
国名: ロシア連邦(チェチェン共和国)
ケース: 安全の懸念/拷問/「失踪」
対象者:マフムット・マゴマドフ(Makhmut Magomadov)、男性、1954年生まれ、
人権弁護士

 チェチェンの人権弁護士マフムット・マゴマドフが、チェチェンの首都グロ
ズヌイ(Grozny)で、1月20日に迷彩服で武装した男たちに捕らえられた。その
日以来、マゴマドフ氏の姿は目撃されておらず、アムネスティ・インターナ
ショナルでは、同氏が拷問、または殺害される危機に面していると憂慮する。

 信頼できる情報によれば、マゴマドフ氏は家族と一緒に、「エレクトロプリ
ボル」社電機工場(地元の目印となる建物)近くにある、グロズヌイのスタロプ
ロミスロヴィスキ(Staropromyslovskii)に住む友人を訪ねた。メタリック・グ
レーの車は、マゴマドフ氏らの行き先を尾行していた。午後6時30分、マゴマ
ドフ氏は、彼の妻と6ヵ月になる息子を車に残し、4歳の娘イマンとアパートの
建物に入って行った。そのとき、数台の車(アムネスティは、これらの車の色
や登録番号の詳細を保持している)が、その建物に寄って来て、少なくとも15
人の迷彩服で、武装した男たちが、車から出て来た。男たちは、その建物を包
囲して、同氏を連れ出し、登録番号GAZ-31029の白いニヴァで、グロズニイの
中心部に向かった。男たちは、何が起こったのか、何も述べなかった。

 男たちは、チェチェン語を話していて、チェチェンの第一副首相ラムゾン・
カディロフ(Ramzan Kadyrov)の指揮下にある「カディロフツィ(Kadyrovtsi)」
と呼ばれる、武装グループではないか、と目撃者たちは憶測している。ラムゾ
ン・カディロフは、ロシア政府によって大統領に就任し、そして2004年5月に
暗殺された、アフマド・カディロフ(Akhmed-hadji Kadyrov)チェチェン大統領
の息子である。ラムゾン・カディロフは、チェチニアで発生した「失踪」な
ど、深刻な人権侵害に関与しているとされる保安庁を担当している。

 マフムッド・マゴマドフは、人権団体である救国のためのチェチェン委員会
(Chechen Committee for National Salvation)で勤務し、拷問、「失踪」、超
法規的処刑、市民への無差別殺人を含む、チェチェンの武装紛争で発生した深
刻な人権侵害の事件を、欧州人権裁判に申請するために、調査・草稿を行って
いた。同氏は、人権のための国際ヘルシンキ同盟、人権のためのロシアNGO国
際保護センターと活動(the Russian NGOs International Protection
Centre and the Movement for Human Rights)と共同作業を行っていた。

背景情報
 旧ソビエト連邦が崩壊して以来、高まる独立運動に対して、ロシア連邦軍が
鎮圧に出たため、1994年、チェチェンで紛争が始まった。最初の紛争は1996年
に停戦したが、1999年の後半、モスクワ、およびそのほかの2都市で起きた連
続爆破事件の後、ロシア当局は、チェチェニアのイスラム分離独立派を非難し
同連邦軍は、再度、その地域を攻撃した。
 チェチェンの事情は、「正常化」に戻った、と繰り返すロシア、および親ロ
シア派のチェチェン当局者らの主張にもかかわらず、紛争自体、またそれに伴
う人権侵害は、終結しそうにない。武力紛争の間、ロシア連邦当局は、北コー
カサスにおける、人権侵害の状況についての会合や情報の普及を制限しようと
試みた。その地域での人権状況を非難し、またこれらの虐待を調査し、欧州人
権裁判所に救済を求める、人権擁護者や活動家たち自身が、次第に、深刻な人
権侵害の被害者になりつつある。

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UAナンバー:UA 18/05の追加情報
国際事務局発信日: 2005年2月4日
AI INDEX: EUR 46/005/2005
期限: 至急
翻訳担当者: 
国名: ロシア連邦(チェチェン共和国)
ケース: 安全の懸念/拷問/「失踪」

対象者:マフムット・マゴマドフ(Makhmut Magomadov)、男性、1954年生まれ、
人権弁護士

 1月20日、チェチェンの首都グロズヌイで、武装した男たちに捕らえられ
た、チェチェンの人権弁護士マフムット・マゴマドフ氏の情報は、いまだに報
知されていない。アムネスティ・インターナショナルは、同氏が拷問、もしく
は殺害されるおそれがあるとして、深く憂慮している。

 家族は、グロズヌイのスタロプロミスロヴィスキ地区検察官とスタロプロミ
スロヴィスキ地区警察から、同氏が1月23日に釈放されたとする、矛盾した公
式の書面を受け取った、と伝えられている。しかし、家族や同僚たちは、1月
20日に、同氏が拉致されて以来、彼の姿を見ておらず、釈放の報告には、信憑
性がないとしている。

 チェチェン共和国における最近の人権侵害は、1月27日に発表された、法務
および人権に関する欧州評議議員総会の宣言の主題になった。その宣言では、
チェチニアで活動するマフムット・マゴマドフ、および人権擁護者たちの事件
を、次のように言及した。「(委員会)は、とくに、2005年1月20日に起きた、
マフムット・マゴマドフの拉致、および同日に起きた、ロシア-チェチェン友
好協会(Russian-Chechen Friendship Society)のニジニー・ノヴゴロド事務所
での、連邦保安局の職員による強制捜査に対し、人権擁護者らを標的にした弾
圧的な行為に、大変な衝撃を受けている。」

 同氏は、チェチェン紛争で起きた人権侵害を対処する欧州人権裁判所に、陳
述書の提出を準備するため、継続的で効果的な人権擁護の活動を行っていた。
そのため、槍玉に挙げられたのかもしれない、とアムネスティは懸念してい
る。ロシアのNGOである国際保護センター(International Protection Centre)
は、同氏と協力し、多くの陳述書を提出しており、最近では、2004年12月末に
されている。同氏は、とくに、欧州裁判所に申請する前に必要となる、申請者
は、ロシアに正義をもたらすために、あらゆる可能な手段を尽くした、という
条件を確保するため、陳述書の準備に深く関わっていた。

 同氏が勤務していた人権団体、救国のためのチェチェン委員会は、世界各国
のUAの会員によって送付された、100通近くのアピールのコピーを受け取っ
た。同団体は、この事件を広報しようと、そのアピールを使用している。ま
た、同団体はUAネットワークの行動、およびその会員の大きな努力に、たいへ
ん感謝している。

 アクション: 英語あるいは母国語で以下の内容のアピールを作り、航空便、
航空書簡(全世界90円)、電報、ファックスあるいはeメールで、できるだけ早
く送ってください。同じ内容のアピール例文が後に続きます。それをご利用く
ださい。

- 1月20日、グロズヌイのスタロプロミスロヴィスキ地域で、迷彩服で武装し
た男たちによって、拉致されたマフムッド・マゴマドフ人権弁護士に対する、
安全の懸念を表明してください。

- 治安部隊によって、拉致されたマゴマドフ氏、および同氏の仕事が、人権擁
護であることから、槍玉に挙げられたという申し立てに、懸念を表明してくだ
さい。

- 同氏を拉致したのは、ラムゾン・カディロフ第一副首相の指揮下にある、治
安部隊の隊員であるという疑惑に対して、徹底的かつ独立した取調べをおこな
うよう、要求してください。

- もし同氏が、治安部隊で拘禁されている場合、迅速かつ無条件で、同氏の釈
放を確保するように、当局に要請してください。

- 北コーカサスで活動する人権擁護者、および活動家への迫害を止めるよう、
当局に要求してください。

宛先

(勤務時間以外の時間帯には、ファックスの電源が切られているかもしれませ
ん。)

ロシア連邦大統領

President of the Russian Federation
Vladimir Vladimirovich PUTIN
g. Moskva, Kreml
Russian Federation
ファックス:
+ 7 095 206 85 10
+ 7 095 206 51 73
+ 7 095 230 24 08
Eメール: president@gov.ru
書き出し: Dear President Putin

ロシア連邦検察庁長官

Procurator General of the Russian Federation
Vladimir USTINOV
General Procuracy of the Russian Federation
Ul. B. Dimitrovka 15a
103793 Moscow K-31
Russian Federation
ファックス:+ 7 095 292 8848
(誰かが応答した場合、英語で「fax please」と言ってください。)
書き出し: Dear Procurator General

チェチェン共和国検察庁

Procurator of the Chechen Republic
Vladimir Pavlovich Kravchenko
Procuracy of the Chechen Republic
Ul. Garazhnaya 9 b
Grozny, Chechen Republic
Russian Federation
ファックス:
+ 7 8712 22 31 43
(誰かが応答した場合、英語で「fax please」と言ってください。)
+ 7 095 777 92 26
書き出し: Dear Procurator

コピー宛先

ロシア連邦オンブズマン

Vladimir Lukin,
Ombudsman of the Russian Federation
ファックス: +7 095 207 76 30

ロシア連邦人権委員会会長

Ella Pamfilova,
Chair of the Human Rights Commission of the Russian Federation
ファックス: +7 095 206 48 55

救国のためのチェチェン委員会

Chechen Committee of National Salvation
Eメール: chkns@mail.ru

できるだけ早くアピールを出してください。

例文:

President of the Russian Federation
Vladimir Vladimirovich PUTIN
g. Moskva, Kreml
Russian Federation

Dear President Putin,

I would like to appeal to you on humanitarian grounds to ensure the
safety of human rights lawyer Makhmut Magomadov, who was abducted by
armed men in camouflage on 20 January, 2005, in the
Staropromyslovskii district of Grozny.

I am deeply concerned about allegations that Makhmut Magomadov was
abducted by Russian security forces and was targeted because of his
involvement and work in the defence of human rights.  I sincerely
request you to order a full, thorough and independent inquiry to
investigate allegations that the men who abducted Makhmut Magomadov
were members of the security forces under the command of First
Deputy Prime Minister Ramazon Kadyrov.

I would also like to ask you to secure the immediate and
unconditional release of Makhmut Magomadov, if he remains in the
custody of Kadyrov's security forces.

In addition, I sincerely ask you to stop the persecution of human
rights defenders and activists working in the North Caucasus region.

Please accept, President Putin, my requests as given above.

Sincerely Yours,


cc. Vladimir Lukin,
Ombudsman of the Russian Federation;
Ella Pamfilova,
Chair of the Human Rights Commission of the Russian Federation;
Chechen Committee of National Salvation.


川上園子 社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-7 小笠原ビル7F
TEL:03-3518-6777 FAX:03-3518-6778
E-mail:ksonoko@amnesty.or.jp
ホームページ:http://www.amnesty.or.jp/

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