チェチェン総合情報
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チェチェンニュース Vol.06 No.01 2006.01.10 子どもたちの奇病/断食で瀕死のチェチェン人

発行部数:1590部

チェチェン総合情報:http://chechennews.org/
バイナフ自由通信:http://d.hatena.ne.jp/ootomi/


 忙しくしていて、しばらくチェチェンニュースが出せませんでした。でもそろそろ、再開したいと思います。「チェチェン総合情報」のサイトでは、1日ごとに少しづつ情報を追加しているので、これからはそちらを優先して、その内容のまとめという形でニュースを発行していくと思います。情報が早くほしい方には、チェチェン総合情報( http://chechennews.org/ )がおすすめです。

 子どもたちの奇病、断食で瀕死のチェチェン人活動家についてのニュースをお送りします。メールの最後に、お約束の募金のお願いがあります。よろしくおねがいします。

 それにしても時間が空くと書きにくいものです。とまれ、今年もよろしくお願いします。

(大富亮/チェチェンニュース発行人)

■神経ガス?チェチェンの子どもの病気広がる

 ではまず、チェチェンの子どもたちの病気に関連するニュースから。2005年の12月23日以来、神経症の発作を起こして、頭痛や呼吸困難を訴える子どもたちが急増している。場所はシェルコフスキー地区。チェチェンの首都グロズヌイの西側にある村だ。発症は一つの学校に集中している。

 12月末の報道では、70人が入院した。ロシア非常事態省の職員、セルゲイ・コゼミャカは、行政当局の通達が出されるまでの間、被害の出ている地域の学校は閉鎖されると言う。モスクワからも医療関係者が派遣され、罹患している子どもたちの血液を採取して原因を究明しようとしている。患者の中には教師や学校職員も含まれている。入院中の70人うち、53人が子どもだ。

●ストレスで78人が同時入院?

 ちょっと無理のある仮説だと思ったのだが、次のような報道もあった。

 「当初は向精神薬などによる中毒症状が疑われたが、診察した医師らによると、薬・毒物やガスなどの形跡は認められないという。ロシア主任保健医のオニシェンコ氏は22日、『チェチェンの住民が置かれている極度の心理的なストレスが原因となっている可能性がある』と指摘した。」

原因不明の症状、児童ら78人入院 チェチェン:[朝日]
http://www.asahi.com/international/update/1223/002.html

 同じ学校に通う子どもたちと先生が、ストレスで、同時にとつぜん喘息やパニック症状を起こして入院するなんてことがあるだろうか。

 しかもこのストレス説を主張していた医療機関には、ソビエト時代に反体制派の人びとを精神病院送りにして強制的に「治療」していたセルブスキー研究所も含まれている。何かの不都合があって、隠蔽を図っているということはありえないか?

Psycho-emotional stress responsible for illness in Chechnya
http://en.rian.ru/russia/20051223/42670708.html

 そうこうするうち、入院する子どもたちの数は90人以上に増えた。

 「医師たちは無力感に苛まれています。子どもたちに精神安定剤と栄養剤を与えていますが、子どもたちが何を、どうして発病したのかわからず、どうやって治療したらいいかもわからないからです」と、チェチェン政府(親ロシア派)大統領人権顧問のナルディ・ヌハジエフ氏がインターファックス通信に語った。

 ヌハジエフは親ロシア派だが、以前にもチェチェンに50箇所もの不法な遺体の遺棄現場があると主張して、ロシア軍の責任を追及していた重要な人物だ。同氏によると、子どもたちの一部は、より詳しい検査と治療のためにチェチェンの外へ連れ出されることになった。

 世界中に「有毒物質が検出された」というという記事流れる一方、ヌハジエフのインタビュー記事はなぜかすぐにウェブ上から削除された。農薬が漏れたか、ロシア軍が化学兵器を使ったかわからないけれど、いちばん弱い立場に立たされるのは、いつでも子どもだ。

「チェチェンの奇病、有毒物質検出」[日経]
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20051223D2M2301Q23.html

●子どもたちの奇病はマイクロ波のせいでは?

 その後、独立派のサイト「カフカス・センター」に、気になる投書があった。ロシア人のある無線技師が、ストレスとか薬物ではなくて、マイクロ波(SHF)のせいでは?と指摘しているのだ。

 「私自身そういう目に遭ったことがあるのだが、 マイクロ波の電波源のすぐ近くにいた場合、数日後になってから強い頭痛や、説明しようのないような恐怖感が続いたり、喘息のような症状がでたりする。症状は1月以上続くこともある。

 どのくらいの強さのマイクロ波が症状に結びつくかをたとえてみると、よくある携帯電話(これもマイクロ波を使っている)の電界強度は、アンテナのすぐ近くで 1 V/cmくらいだ。1日あたり2時間以上携帯電話を使いつづけると、たいていの人が頭痛を訴える(とくに標準DAMPSの旧式モデルだと顕著)。

 今回のような状況を作り出すために必要な装置(マイクロ波照射機)はとても小さくて、せいぜいよくあるサイズのトランクにおさまる。これが子どもたちに対して使われた可能性がある。教室にマイクロ波照射機を配置するなら、棚の中、床下のようなところで問題ない。その作用で、数日後には被害者はとても深刻な健康障害をきたすことになる。

 マイクロ波が悪影響を及ぼす範囲は、この照射機から数十メートルの範囲ぐらいで、壁やドアがあっても、多少の障害にはなるが、電波を防ぐ役目は果たさない。マイクロ波の検出は簡単で、自動車に乗せるレーダー検知器(スピードオーバーの取り締まりを事前に察知する装置)があれば検出できる」 [1/6 Kavkaz Center]

I think Chechen children are irradiated with the aid of SHF
http://www.kavkazcenter.com/eng/content/2006/01/06/4352.shtml

 ・・・技術的なところはよくわからないままに読んだのだが、だいたいこういうことだった。もういつもにも増して心配になってくる。早い話、人間を電子レンジに入れたようなものではないか?

 もし事件のうらにこのマイクロ波照射があったとしたら、ロシア側が必死に隠蔽するのもわかる。ここからは私の仮説だけれど、チェチェンに出張している軍関係の組織のどれかが、こっそり電波兵器の実験をして、その結果、子ども90人以上に症状が出てしまった。しかしあまりにもひどい話で、知れ渡っては困るので、ロシア政府はセルブスキー研究所まで動員して事件をもみけそうとしている。もしくは、化学・生物兵器が使われた。

 とても気になるこの件、新しい情報が入りしだい、続く。

■ベスラン・とかげの尻尾切りにしないために

 12月28日、北オセチア・ベスラン学校占拠人質事件についての、ロシア議会の調査委員会の報告が出た。「地元の治安当局が事前にテロ情報をつかみながら「怠慢と油断」から適切な措置をとらず、テロを防げなかった」という内容が含まれている。

治安当局「怠慢」と批判 ロ学校人質事件で議会報告
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051228-00000220-kyodo-int

 その一方で、ロンドンに亡命中のチェチェン独立派の副首相のアフメド・ザカーエフは、元イングーシ大統領のルスラン・アウシェウや、北オセチアのザソーホフ大統領が、人質の解放のために犯人グループと交渉しようとしていたし、当時の独立派のチェチェン大統領だったアスラン・マスハドフも、交渉に参加する準備ができていたと、あらためて主張している。ラジオ・リバティーのインタビューによると、

 ザカーエフ: 「9月2日の朝、アウシェフとザソーホフが電話をしてきた。彼らはマスハドフか、他の(独立派)政府関係者が交渉に参加する可能性を尋ねてきた。その夜、私はマスハドフに連絡をとって、それを伝えた。マスハドフは、<現地入りするためならなんでもしよう>と答えて、<ザソーホフに、子どもたちを助けるために、マスハドフ自身が交渉に参加する準備があると伝えてくれ>といった。9月3日にそれをザソーホフに伝えた。ザソーホフはベスラン入りするための準備をするのにいくつかの会議を開かなければならず、それに2時間ほどほしいと言った。けれどそれから30分くらいたって、学校への突入があったんだ。あとは次々と・・・。」

 「マスハドフ自身がベスランに行く決意を固めていたんだ。そのために、こちらはたったひとつのことを(ザソーホフたちに)要求した。何の(安全上の)保証もいらない。ただ、現地に行くのを助けてくれということだ。それはわれわれにはできないことだから。・・・電話のむこうにはザソーホフとアウシェフしかいないということだったが、まちがいなく特務機関の人間が立ち聞きしていたはずだ。そいつらの目的は、われわれが現地入りするのを妨害するためで、そのためにいきなり学校に突入したんだ」

Russia: Chechen Separatist Envoy Recalls Beslan Events
http://www.rferl.org/featuresarticle/2005/12/B816E08D-3887-4322-8850-F89E5B8DCAB7.html

 そして軍の強行突入で約330人の人の命が失われた。

 ロシア議会の報告書は現地の治安当局に責任を着せていたが、それより中央の派遣した情報機関に問題があると思う。プーチンがこの交渉を許していれば、もっと多くの子どもが生き延びた可能性は充分にあるから。アウシェフたちが、政府に何の相談もなくザカーエフに連絡を取っていたとは考えにくいし。

■この人を見よ−チェチェン人権活動家、断食で瀕死

 まず状況を:フランスのストラスブールにいるチェチェンの人権活動家のサイード・エミン・イブラギモフさんが、自宅でハンストを続けている。イブラギモフさんはソ連時代のボクシングのチャンピオンでもあり、ここ数年、ハンストや平和行進を通して、チェチェン問題の解決を訴えている。

 「ただしく理解してほしいんです。私たちは欧州議会や、欧州評議会、国連といった組織に関心を持ってほしい。私たちには人権があるのに、それが侵害されていることを認めてほしい・・・法的に、それを解決してほしい。それがかなえば、ハンストは終えられるんです」

 イブラギモフさんは、チェチェン問題の解決にもっと国際社会が関与してほしいと訴えている。ハンストはすでに1ヶ月が過ぎていて、生命があぶない。イブラギモフさんの友人で、日本のチェチェン支援運動の先駆者である日本山妙法寺の寺沢潤世師が、チェチェン人の弟子とともに現地に駆けつけようとしているが、航空運賃など、25万円ほどの資金が足りない。読者で持ち合わせのある方はご助力を。(末尾に送金先などがあります)

 きのう、寺沢上人はイブラギモフさん支援のための声明を各国語で発表した。

  「この人を見よ」
   サイード・アミン・イブラギモフ氏無期限断食に寄する緊急メッセージ
   日本山妙法寺 寺沢潤世 二〇〇六年一月九日 ウクライナにて



南無妙法蓮華経

 救国、救世のまことの勇者、慈悲の人には、軍隊も戦略も、大量殺人兵器も、自爆テロも必要ではない。無私にして真実たらんとしつづける人は、ただ一人で全世界に立ち向かい、そして世界に勝つことができる。

 長年にわたって私の知るサイドアミン・イブラギモフは、彼の母国と同胞を、暴力的な滅亡と絶滅から救わんがため、熱情的な非暴力闘争をしつづける。このような真に勇敢な二十一世紀の英雄的サッチャグラヒ(真実のための戦士)である。

 今も続いているチェチェンでのジェノサイドは、ポスト冷戦期、二十一世紀の終末的な受難劇である。全世界が真実を裏切り、真実をいけにえにした、冷戦後の「ニューグレート・ゲーム」は、このいけにえの上に今も演じられつづけている。だれも逃れることはできない。傍観者はいないのだ。誰も、が白昼堂々とチェチェンの国をはりつけにする刑に参加しつづけている。

 私の古い精神的同行者、サイドアミン・イブラギモフは、今、静かに彼が選んだ最後の運命に従おうとしている。しかし、どんな雄弁やマススローガンにもまして、彼は世界政治の本当の顔をあばきだして見せた。

 彼の自己犠牲は決して虚しく終わらない。彼の例につづくことによって現代世界はその狂気と自己欺瞞から立ち直るのである。

 ロシアは力によってチェチェンを征服することは決してできない。チェチェンの魂を破壊することもできない。

 ロシアは世界を欺きつづけることもできない。ロシアはとうの昔に真実を失っている。サイドアミン・イブラギモフは真実と自由の不滅のチェチェン精神を、すでに実証してみせた。

以上

英語: http://chechennews.org/dl/20060109_apeal-eng_on_Said-Emin.pdf
ロシア語: http://chechennews.org/dl/20060109_apeal-rus_on_Said-Emin.doc

 募金の受付を一旦終了します。ご協力ありがとうございました。

 今回の断食では、最悪の事態も考えられるので、寺沢上人とチェチェン人のお弟子はどうしても駆けつけたいとのことです。また、イブラギモフ氏周辺のチェチェン人たちも、宗教者である寺沢上人の到着を心待ちにしています。この支援金は、その行動費にあてられます。金額が必要額に満たなくても、数日中に送金します。どうぞ主旨をご理解の上、ご協力をお願いします。

 送金先:
 郵便振替口座番号:00180−6−261048
 口座名称:チェチェン連絡会議
 ※通信欄に「寺沢上人支援」とお書き添えください。


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