チェチェン総合情報
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チェチェンニュース Vol.07 No.14 2007.05.21

http://chechennews.org/chn/0714.htm (HTML版) 発行部数:1656部

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どうしてチェチェンニュースは、チェチェン以外のことを書くのか? 教育基本法、改憲国民投票法、そして共謀罪。安倍内閣がめざす「美しい国」は、クーデターによって打ち立てられようとしているのか? 自民党極右の陰謀とは? 日本が危ない! (世界も)

INDEX

■フィクションとプロパガンダ − 戦争前夜の東京から

 (大富亮/チェチェンニュース)

●これでいいのかチェチェンニュース

 7月の参議院選挙も近づき、私の頭の中はわからないことでいっぱいだ。チェチェン情勢の先行きもあいかわらずだが、自分の国の政治くらい、もうすこしわかってもよくないか。

 昨年9月に、共謀罪の審議が、知らない間に進んでいたことに気がついた。600種類以上の犯罪を、隣にいる人と話し合って、冗談にも「やってみようか」と目配せをすれば有罪になってしまうという、ものすごい法案だ。私は大急ぎで、共謀罪に反対しようという記事を「チェチェンニュース」に書いて、ときどき国会周辺での集会や傍聴に参加するようになった。

 「チェチェンニュース」に、国内の問題が書かれることには、いまでも賛否両論だ。反対の意見をおおまかにまとめると、「違和感がある。チェチェンの支援の場で、そのほかの問題への価値判断を持ち込めば、運動が広がらない」ということを指摘された。もっともだ。

 個人的なウェブログだったら、そのへんは何でもいいのだろう。ただ、チェチェンニュースに似たものがチェチェン支援かいわいにはないので、支援に関わっている人々の意見を代表していると思われやすい。いきおい書き手も慎重になっていくし、それはその方がいい。

 公式メディアなのか? それとも個人メディアなのか?でも、どちらでもないからこそ、読んでもらえているという気もする。どこかの党派に支えられた「機関紙」でないという意味で個人的。でも、個人では取り組むことのできないチェチェン問題に、さまざまな人と協力しながら発行しているという意味で、公式的という風に。

●便宜的に・・・

 そこで、チェチェンニュースでは、こんなアプローチをとっている。チェチェンの情報については、ロシアの軍事侵攻と人権侵害に反対する視点から情報を伝える。これはごく普通なので、とくにことわりはいらないと思う。

 一方、日本の問題については、ニュースの発行に関わっている私たちが、日本の未来と一蓮托生の存在だということから出発する。具体的には、徴兵制が敷かれたら戦場に行かされる存在である。徴兵制がなくとも、格差社会の底辺にいて、軍隊に入るくらいしか食う道がなくなるかもしれない。今でさえ食えないのだ。

 それに、日本が戦争をはじめたら、チェチェンを支援するどころではない。改憲して、日本が戦争できるようになったら、チェチェンのように粘り強いレジスタンスを戦うのではなく、むしろアメリカの強大な軍事力を背景に、中小国に侵略するような立場をとるように、絶対なる。

 どうして言い切れるかといえば、かつて日本は日中戦争をしかけ、ナチスと組んで第二次世界大戦を戦い、しかも、改憲しようという安倍首相は、その過去に対する反省を拒んでいるのだから。このままだと軟弱な私も、明日は銃剣を持たされて、どこか遠い国で、レジスタンスの兵士に(!)撃たれて死んでしまうかもしれない。

 自民党は極右にすっかり乗っ取られてしまった。中にはきっと良識のある保守がいると思うのだが、そういう状態で憲法を改正したりすべきではないし、憲法に次ぐ位置にある教育基本法を変えるべきではなかったと思う。

 とまあ、チェチェンニュースの発行人は、そういう風に考えるようになってしまったということは、たまに報告をしないと、読者をかえって裏切ることになる気がする。立場は違っても、同じようにチェチェンの問題を考えている仲間たちには、このあたりの思いを、耳障りにならないように申し上げていきたい。

●改憲を考える

 さて、共謀罪。今、国会では強行採決が大流行中みたいなので、共謀罪も危険水域にある。まあ、民主主義は多数決原理だから、多数が賛成すれば法案が通るのはしょうがない。

 けれど、話し合いに十分時間もとらず、国民に中身を伝えず(ここはマスコミの責任が大きいと思う)に法律をどんどん決めていっていいなら、議会なんか廃止して、「自民党」「公明党」「民主党」「共産党」「社民党」「国民新党」とでも選択肢を書いた紙を有権者に渡し、いちばんマルの多かった党が、その後5年くらい国政のすべてを決めればいいことだ。それは「独裁制」っていうのだが。

 というわけで、今は独裁制とあまり変らない。審議拒否をすれば「卑怯だ」と批判され、審議に参加すれば強行採決されるのでは野党も災難だが、独裁政党が憲法を変えていいはずはないので、歴史は野党の側にある。どこにいても、戦争に反対する人たちの側にある。

 憲法をまるごと変えるという、自民党の「新憲法草案」は、そもそも今回通った「国民投票法」では投票にかけられない。(国民投票法が逐条的な改正を念頭に置いているため。ただ、一気に新憲法草案を国民投票にかける荒ワザがないわけでもないらしい。末尾を参照)

 それに、「憲法改正を参院選での争点にする」という首相の発言には、国民投票法のとりまとめをした自民党の船田議員ですら批判している。「首相の考えだと、参院選で三分の二以上の議席を取らないと論理がおかしくなる」と。

 では、安倍首相は何を考えて「全面改正」を口にするのか? わかる人がいたら教えてほしい。私に考えつくのは、「新憲法草案」そのものが、実現する見込みのない誇大広告で、国民を慣らすためのプロパガンダだという可能性だ。

 それはやっぱり、責任のある与党のすることではないような気がする。それでもまだ好意的な見方だ。

●クーデターの準備

 もうひとつの見方はといえば、「新憲法草案」を、なにかとてつもないやりかたで現行の憲法と差し替えることを狙っているというものだ。たとえばクーデターとか。

 ・・・荒唐無稽ですか。でも、気の遠くなるくらいの時間をかけて手続きを繰り返して逐条的に全部を改正していく気でもなければ、単なるプロパガンダか、クーデターのどちらかしかないような気がする。

 と考えてグーグルをいじっていたら、こんな記事があった。憲法学の立場からは、改憲の発案権が為政者にあるとしても、憲法の基本原理を変える変更は、現憲法の否定であり、「改憲」とは呼べないというのが通説。それをしてしまうのは、新憲法制定か、クーデターとも言うべきものだという。

 天木直人のブログ: http://www.amakiblog.com/archives/2007/05/18/#000381

 うーん。

 さて、そのクーデターを起こすにあたっては、邪魔になる人々を排除する必要がある。まず、クーデターを支持する国民を作る。「国を愛する」心を持った「少国民」を育てるために、教育関連の法令は軒並み改正。これはもう手をつけた。「親学」なる、良き親の姿を国が決めるガイドラインも首相の口から語られた。それを法制化したあと、子どもが親の言動を監視して、学校に報告するようなシステム作りをすれば全家庭が監視できる。「心のノート」の次は「家庭のノート」だ。

 それから、戦争に反対する人々の排除。「プロ市民」とか言われる人々の数は多くないが、この人々を逮捕して口をふさげば、世論は静まる。すでに今日でも、マスコミは効果的に統制できている。けれども、市民運動をする人々の中に、犯罪者はほとんどいないはずだ。そこで、「共謀罪」が役に立つ。

 あとはいくつか並行するシナリオが、人々の心をまとめ上げていけばいい。たとえば、日本国内で大規模な「テロが発生」して、自衛隊が苦戦しつつ鎮圧する。その「テロ」に、「平和活動家」や左翼が絡んでいることになれば、すべては一網打尽。または某国の核ミサイルが、日本のどこかに落下して大惨事になれば、状況は一気にひらけてくる。そのためだったら、どんな挑発的な外交もやってみる価値はある。

 一般の人々は戦争を望みはしないのに、左翼アレルギーと平和運動の衰退によって、選択肢がなくなっていき、やがて・・・、  

 なんだか書いていて気分が悪くなってきた。ほんとうにそういう陰謀があるのだろうか? 私がばかで? 安倍首相や、その周辺にいる人々の真意をねじまげていると感じた方は、ぜひ教えてほしい。私だってフィクションだと思いたい。

●フィクションとプロパガンダ

 けれどある意味、世界はもっと大きなフィクションで動いている。「テロとの戦い」という、終わりのない戦いの世界に、すでに私たちは引きずり込まれ、もしかしたらこのニュースの読者にも、イラクで米軍とともに作戦行動をしている自衛隊員の家族がいるかもしれない。米軍再編も続く。駐留軍と自衛隊の司令部は一体化しつつある。冷戦の復活だ。いったい冷戦で一番儲かったのは誰だったろう?

 そしてチェチェンに対する軍事侵攻と占領は続き、プーチン大統領はこれを「テロとの戦い」と呼んでいる。「中東からの国際テロリストがチェチェンに入り込み、テロを繰り広げている」からだ。

 フィクションを信じさせるための大量の情報の流し込みを、プロパガンダと呼ぶのだったか。ロシア製のフィクションも、日本のそれも、まったく別の必然から生まれたとはいえ、敵の敵は味方の論理でつながるのに不思議はない。

 06年秋には、誰あろうロシア連邦保安局(旧KGB)トップのパトルーシェフと、対外情報局トップが相次いで東京に来て、安倍首相周辺や警察上層部と、何かいろいろ相談して帰ったらしい。こんなこと、最初は当事者たちだって思いもつかなかっただろう。  

インテリジェンスアイ: http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/intelligence/20070402.html

 戦争のシステムが暴走しはじめていて、しかも「敵A」「敵B」ともフィクションだったなら、システムを加速させるためにAとBが一緒くたにされてしまうことだってあるだろう。冷静にその差異を考えはじめたら、システムは止まってしまうのだから。

 どうまとめたらいいかわからなくなってきたが・・・ いろいろな事件がつながっていることはたぶん間違いないし、世の中は平和に向かっているわけでもなさそうだ。だから、少しづつでもできることをしていきたいと思う。そのための読者の提案もお受けしていきたい。とにかく戦争は間違っている。

 ところで明日、東京で、「とめようやめよう共謀罪U」という集会が開かれる。世界と私たちの明日に関わることを、肌で感じていただくためにも、ぜひご参加ください。

*「新憲法草案」を国民投票にかける荒ワザ: 憲法「改正」の国民投票は「内容において関連する事項ごと」に行われることになっているので、新憲法草案のすべての条項を「内容において関連する事項」と見なして一括投票とする可能性もゼロではない。4月19日の参議院の審議でも、自民党の議員から新憲法草案を丸々投票にかけられないのかという質問が出ていたが、発議者はその可能性を完全には否定しなかった。

■5.22集会 とめようやめよう共謀罪U(『週刊金曜日』協賛)

21世紀の治安維持法といわれる共謀罪は国会内外の広範な反対運動で成立が阻まれています。そのため政府は対象犯罪の数を減らし、名称を「テロ等謀議罪」に変更した修正案で突破を謀ろうとしていますが、本質はまったく変っておらず私達は絶対に騙されません。

共謀罪法案の攻防は第2段階に入り多くの団体・個人が反対運動をされていますが、私達も昨年の9.16集会に続き5.22集会を開くことによって、反対運動に合流したいと考えています。

4人の講師による元気の出る集会を企画しました。ぜひご参加ください。力を合わせて、共謀罪法案を廃案に追い込みましょう。

・川田龍平氏(東京HIV訴訟原告)
・山本夜羽音氏(漫画家)
・森広泰平氏(アジア記者クラブ事務局長)
・中村順英氏(元日弁連副会長)

●日時:2007年5月22日(火)18:30〜21:00(開場18:00)
●場所:渋谷勤労福祉会館2階第一洋室(渋谷駅徒歩7分公園通りパルコ向い)
●参加費:500円
●主催:「とめようやめよう共謀罪」実行委員会
●協賛:『週刊金曜日』
●問合せ先:TEL/FAX 03-3739-1368

■イベント情報

● 6/24 茨城: 世界の現在を映すドキュメンタリー(『踊れ、グローズヌイ!』上映)
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070519/1179586537

● 7/1 大阪:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070418/1176870879

● 5/22 東京: とめようやめよう共謀罪U
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070424

● 5/27 東京: ミーダーン連続講座:なんだかアラブ音楽
http://midan.exblog.jp/i2

● 6/16 東京:「戦争がはじまる」帰って来た伝説の報道写真家 福島菊次郎「遺言」講演会
http://www.jvja.net/fukusima%5Econtents.html

● 6/17 東京: 日本の難民を考えよう! 難民EXPO'07 〜日本の難民とその支援を知る日〜
http://gyaku.jp/index.php?cmd=contentview&pid=000227

● 6/22 各地: 動けば変わる! TEAM GOGO 2007
http://www.teamgogo.net/

映画/写真展

● 1/27- 各地: 映画「グアンタナモ、僕達が見た真実」
http://www.guantanamo.jp/

● 3/10- 東京ほか: 映画「パラダイス・ナウ」
http://www.uplink.co.jp/paradisenow/

● 5/26- 東京: 映画「ひめゆり」
http://www.himeyuri.info/index.html

● 5/29-11/10 東京ほか: DAYS JAPAN写真展2007
http://www.daysjapan.net/news/news2007/news200703_01.html


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