チェチェン総合情報
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チェチェンニュース Vol.07 No.20 2007.08.19

http://chechennews.org/chn/0720.htm (HTML版) 発行部数:1659部

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■編集室より:

毎日猛暑が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょう。家での仕事がたまっているので、クーラー嫌いの私はとにかく耐えて進めています。でも、本当に地球温暖化のことがひしひしと心配になってくるこのごろです。

チェチェン関係の動きとしては、モスクワ―サンクト間の列車爆破事件が騒がれそうになりましたが、その後ぱたりと報道が途絶え、なんだったのかなあと思います。記事の「ノブゴロド州列車事故について」で多少フォローしました。

それから、アムネスティ・インターナショナルが、最新報告書「ロシア連邦-チェチェンにおける強制失踪と正義の実現」の日本語版をリリースしました。ラムザン・カディロフ支配下のチェチェンで今、何が起こっているのか。チェチェンでの人権状況を伝えたり、話す機会のある人には必読のテキストと思います。

(大富亮/チェチェンニュース)

INDEX

■アムネスティ最新報告書:ロシア連邦-チェチェンにおける強制失踪と正義の実現

アムネスティ・インターナショナルによる、労作の最新報告書(日本語版)が公開されました。ラムザン・カディロフ支配下のチェチェンで何が起こっているのか?

「彼らは建物が機能しているということだけを、つまり再建中であるのを見せているだけです。それだけ。自分の子どもを探して涙を流すすべての母親を見せているわけではありません」

(2006年6月、強制的失踪の犠牲者である息子を捜し求める母親)

2005年6月4日に、治安部隊はボロジノフスカヤで「特別作戦行動」を展開した。その間に約200人が恣意的に拘禁され、虐待を受け、少なくとも男性1人が殺害され、11人の男性が失踪した。

治安部隊の隊員約100人が、2台の装甲人員運搬車と、10台以上のUAZ-469型四輪駆動車、7台のVAZ-2109車両に乗って、ボロジノフスカヤに到着した。彼らは、灰色の軍の迷彩服を着て、村民によれば、東大隊のチェチェン人隊員であった。大隊の指揮官スリム・ヤマダエフは、東大隊が6月4日の襲撃を行ったことを否定した。だが、シャルコフスキー地方の長官であるフセイン・ヌタエフは、NTVテレビ局に「特別部隊と連邦の機構が適正に機能せず、違法行為を許した」と述べたと伝えられる。その襲撃により、約1000人の村民が境界線を越えて隣接するダゲスタンへ大量脱出することとなった。彼らは、11人の男性たちの安否が明らかになるまでは帰還することを拒否している。

つづきを読む(PDF 568KB)
http://www.amnesty.or.jp/uploads/Chechen_EUR460152007_Ja.pdf

■ノブゴロド州列車事故について

(大富亮/チェチェンニュース)

モスクワとサンクト間の鉄道線路上で爆破と思われる事件が発生しました。

まず、チェチェンとの関係は今現在の情報ではわからないものの、テロリズムの場合には、犯行声明を出さないと、意味がありません。しかし、06年7月のバサーエフの死以降、こういった作戦に犯行声明を出す人物がチェチェンにいません。

そして、ロシアでは、この種のテロ事件に確実な捜査がされて、結果が示されたためしがありません。現段階でロシア治安当局はテロの可能性を匂わせていますが、今後も犯行声明がなく、いままでどおり捜査もうやむやになった場合、ロシア治安機関による自作自演か、チェチェンなどとはまったく別の利害に基づいた事件だと考える必要があります。どちらにしても治安機関は関与していることになります。

ではなぜロシア政府はテロを必要としているのか? 12月の下院選、来年4月の大統領選に向けて、国内の治安の不安定をあえて露出するということが考えられます。テロ事件が起こると、西側は「ロシアの治安は不安定」と観測しますが、ロシア世論は、「だからこそ剛腕の大統領が必要」という方向に動いてきました。それで基本的にロシア政府には有利に働いています。

治安機関による自作自演の可能性については、最近刊行されたA.リトビネンコの「ロシア闇の戦争―プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く―」(光文社刊)をご一読ください。以前の例によると、1994年11月18日、モスクワ市内にかかる鉄橋で爆破があり、連邦諜報庁(FSK−当時)の外郭会社「ラナコ」のマクシム・ラゾフスキーが関与しています。また。12月27日、連邦保安局系のフリーランス工作員ウラジーミル・ヴォロビヨフが、モスクワでバスを爆破しました。96年6月11日にモスクワの地下鉄トゥーリスカヤ駅で電車の爆破事件が起こっており、これもラゾフスキーの関与が疑われています。

ロシア 闇の戦争 プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く
http://www.kobunsha.com/book/detail/96198.html

アレクサンドル・リトビネンコ著/光文社 \1,800

鉄道爆破は治安機関のお家芸ということでしょうか。いずれにしても、犯行声明の有無と、捜査の結果に注目する必要があります。もう、「治安」の意味がわかりませんが。

さて、事件から2日後の14日、ラジオ・リバティーの事務所にチェチェン独立派の過激派・かつてバサーエフがいたリャドゥス・サリヒーン部隊の副司令官を名乗る人物が電話をかけてきて、犯行を声明したという記事を見たのですが:

http://www.rferl.org/featuresarticle/2007/08/CC243000-410A-42AB-9CB2-02B163257205.html

案外これをロシアの報道機関は採用しなかったようなのです。日本の報道機関は、リバティの情報だけだとまず紙面で使わないので、ほとんどの人が知らないままだと思うのですが、結局事件はまたフェードアウトしようとしています。でも、事件 発生は13日で、当局は「テロの可能性」を示唆して、その3日後には上海協力機構の対テロ合同軍事演習が開催されています。プーチン大統領や中国の胡錦濤国家主席ら各国首脳が視察するという大きなイベントでした。

列車爆破事件はこの辺の日程を考慮して、国内の引き締めのために発生したのだろ うと、憶測します。

上海協力機構、6カ国首脳が軍事演習を視察(日経) http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070818AT2M1702H17082007.html

ロシア列車テロ 政権への打撃目的か [東京 2007/8/15]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007081502041123.html

(露列車脱線)現場から電気コード、爆弾テロと断定 [毎日 2007/8/14]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070814-00000067-mai-int

テロと断定、捜査開始ロシアの列車脱線 [朝日 2007/8/14]
http://www.asahi.com/international/update/0814/TKY200708140390.html

露でテロ 特急列車脱線、60人負傷 [産経 2007/8/14]
http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070814/wld070814003.htm

対テロ演習中の列車爆弾テロ、露政権の面目つぶす狙いか [読売 2007/8/14]
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070814it13.htm?from=top

ロシア列車脱線、テロと断定し捜査開始 [日経 2007/8/14]
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070814AT2M1402B14082007.html

■最新刊「プーチン政権の闇〜チェチェン戦争・独裁・要人暗殺」9月6日発売!

ジャーナリストの林克明さんの最新刊の刊行予定が決まったそうです。以下「チェチェン未来日記」から引用します。

単行本「プーチン政権の闇〜チェチェン戦争・独裁・要人暗殺」(高文研)の校正が終わった。ジャーナリスト暗殺と元KGBリトビネンコ氏の暗殺事件がおきた昨年秋から今年5月までに書いた雑誌記事に加筆再編集してまとめたものだ。校正をしていて、この秋からロシアは大混乱になるかもしれないと、あらためて認識した。

9月6日(チェチェン独立記念日)発売

つづきを読む
http://www.actiblog.com/hayashi/41755

■「ロシアン・ダイアリー」書評情報

ポリトコフスカヤに関する書評記事(主にWeb以外)の掲載情報です。Tさん、いつもありがとうございます。特に最後の図書新聞の書評「無関心とシニシズムを破って」は、入手して読む価値あり。

●「プーチンの罪」を追いかけつづけた女性ジャーナリストの執念 [週刊ポスト 2007/8/10]

国際社会では民主化されたことになっているロシアは、以前にも増して「社会の最上層と最下層では住む世界に天と地ほどのひらきがある」ようになった、と著者は記している。そしてその現実を改善する政治は機能せず、民主主義の基本条件である公正な選挙制度もまたプーチンの息のかかった「官僚が司法を牛耳っている」ため、プーチン派の選挙違反は摘発されない。・・・このよう”官僚政治”の欠陥と腐敗は、日本でも例外ではない。ジャーナリズムが機能不全をおこし、腐敗を指摘することさえできず、放置するにまかせるとしたら、日本の未来もまた決して明るくない。(岩瀬達哉)

●ロシアン・ダイアリー(書評) [エコノミスト 2007/8/7]

『新冷戦』という言葉が飛び交い始めた。・・・どちらが先に仕掛けたかは別にして、「大国復活」を目指すプーチン政権の強権的手法が先進国のルールから逸脱し、冷却、対立の原因になっているのは間違いなさそうだ。ロシア人女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤの新著『ロシアン・ダイアリー』を読み、その思いを強くした。・・・ソ連時代の債務約240億ドルを前倒し返済するほど原油高騰で潤うロシア。ロシアンマネーとルール逸脱が結びついた時・・・。(小林剛)

●ロシアン・ダイアリー(書評) [京都新聞、新潟日報ほか 2007/7/23]

・・・驚くべき事件が次々と起きる。大統領選では、有力候補が突如失踪して出馬辞退し、不正が横行。国家保安機関の違法活動を止めようとした検事は誘拐され、人権はの学者や弁護士が襲われて負傷―。メディアも市民も批判力を失った状況下で、それでも正義を希求する記者魂に圧倒される。

●ロシアン・ダイアリー(書評) [ふぇみん 2007/7/5]

国民はもはやモノを言う気力も尽き果て、誰が誘拐されようが虐待されようが抗議の声すら上げない。その間もチェチェンやイングーシで襲撃や制圧事件が相次ぐ。ベスランの学校爆破事件では、毒を盛られ瀕死の状態であるにもかかわらず、詳細な取材記録を残している。アンナのジャーナリスト魂の真骨頂を見る思いだ。

●無関心とシニシズムを破って―[力]の冷徹さに対しては、[感覚]の熱で [図書新聞 2007/7/7]

『ロシアン・ダイアリー』がうきぼりにするのは、異論に対するプーチン体制の過敏なまでの恐れである。真実を言うポリトコフスカヤの生き方に、そして彼女の死に、ロシアの人々は胸を、心を動かされただろうか。無関心とシニシズムを破って、異論はことばによって生み出される。なによりジャーナリストはおのずと異論派であることを、いま彼女の生き方、そして暗殺の現実とともに、より深く胸に刻むときだ。

■長勢法務大臣,死刑を執行しないでください

(大富亮/チェチェンニュース)

アムネスティ・アップデートより: 「今号の連載では自由権規約第二選択議定書は死刑廃止のための選択議定書をと りあげました。日本は、前回の第一選択議定書、今号の第二選択議定書のどち らも批准していません。その背景には死刑の問題があるとも言われています。 その死刑について、今日、明日にでも執行が行なわれそうだとのことです。下記 サイトで緊急アピールを呼びかけています。ぜひご協力ください」

http://homepage2.nifty.com/shihai/kiki3.html

死刑は、死刑判決によって自動的に執行されるのではなく、法務大臣の政治的判断に委ねられています。それがなぜなのか、よく考える必要がありそうです。私は厳罰の効果を疑い、冤罪の可能性を考え、死刑に反対します。

■イベント情報

● 9/15 横浜:『踊れ、グローズヌイ!』上映会 -写真と映画で知るチェチェンの今-
チェチェン関連映画『踊れ、グローズヌイ!』
ぼくたちは「テロリスト」じゃない。世界に伝えるため、子どもたちは踊る。
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

● 9/29 品川:9条フェスタ2007(『踊れ、グローズヌイ!』上映あり)
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

● 9/30 横浜:アムネスティ・ミニシネマフェスティバル(『踊れ、グローズヌイ!』上映あり)
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

● 9/30 大阪:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

● 10/13 札幌:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

● 8/22-23 品川:星野文昭・絵画展
徳島に32年間投獄されている冤罪の政治犯・画家による獄中での水彩画を展示
http://blogs.yahoo.co.jp/pinchag_38310_yo/archive/2007/07/15

● 8/25 渋谷:トークイベント『いのちをつなぐ』
医師・鎌田實とイラクの先生イブラヒム、夏のおしゃべり。混乱のイラクについて
http://www.jim-net.net/notice/07/notice070712.html

● 8/30 文京:共謀罪に反対するネットワーク学習会
共謀罪廃案に向けて行動しよう!テーマは国際人権と日本の犯罪対策
http://www.labornetjp.org/labornet/EventItem/1183321942535staff01

● 9/15 港:Peace Day Tokyo 2007@東京タワー下
武力で平和はつくれない/世界の人々とともに 芝公園4号地をアート会場に
http://blog.livedoor.jp/peacedaytokyo2007/

● 10/13-16 世田谷:マルシャーク生誕120周年『森は生きている』
1954年の俳優座の日本初演で爆発的人気を呼んだ『森は生きている』。あの感動が帰ってくる
http://www.artsisland.com/mori/mori.html

● 11/2 大田:李政美 養源寺コンサート-ありのままの私-
日韓にファンを広げる在日コリアン二世の歌姫
http://leejeongmi.com/11.2.jpg

■長期間のイベント情報

● 3/10- 各地: 映画「パラダイス・ナウ」
なぜ、彼らはそうしたのか。自爆攻撃を指令されたパレスチナの若者の48時間
http://www.uplink.co.jp/paradisenow/

● 5/3- 各地: 映画『日本の青い空』
日本国憲法誕生の真相、60年を経て、いま明らかに!
http://www.cinema-indies.co.jp/aozora/index.html

● 5/26- 各地: 映画「ひめゆり」
何度も劇映画になった「ひめゆり」。これは歴史を託されたドキュメンタリー。
http://www.himeyuri.info/index.html

● 7/21- 各地: 映画「夕凪の街 桜の国」
生きとってくれてありがとう−ふたつの時代の女性を通して描くヒロシマ。
http://www.yunagi-sakura.jp/

● 8/7-25 千代田:山形国際ドキュメンタリー映画祭2007前夜祭
「世界のヤマガタ」の受賞作でたどるドキュメンタリー映画の現在。ルート181も
http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/program/yamagatazenya/yamagatazenya.html

● 9/3-16 横浜:横浜国際フォトジャーナリズム・フェスティバル
最前線のジャーナリストたちが写真を通して真実を訴える写真展
http://www.photofestival2007.net/outline/


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